2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550024
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
玉井 尚登 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60163664)
|
Keywords | 逆オージェ効果 / 半導体量子ドット / 時間相関単一光子計数法 / 発光寿命 |
Research Abstract |
逆オージェ効果とは,バンドギャップの2倍以上のエネルギーをもつ光子を1個吸収して2個以上の励起子を生成する過程である。この効果は太陽電池の変換効率を飛躍的に上昇させる可能性があるため,近年PbSやCdSeなどの半導体量子ドットを用いた研究が報告されている。本研究では,逆オージェ効果が上記以外の半導体量子ドットでも起こるかどうかを調べるため,まずサイズが大きくバンドギャップの小さなCdTe子ドットを合成し,フェムト秒Ti:Sapphireレーザーの高調波を励起光に用いて発光寿命測定を行った。 水中でTGA (Thioglycolic Acid)を保護剤としてCdTe量子ドットを合成したが,大きなサイズのものを合成するのが難しく,有機溶媒(1-オクタデセン)中で保護剤としてTDPA (Tetradecylphosphonic Acid)を用いた手法でCdTe量子ドットを合成した。前駆体を除くためにメタノール,クロロフォルムの1:1溶液で抽出をした後ヘキサンに溶かした。この量子ドット溶液を用いて,Ti:Sapphireレーザーの第二,第三,第四高調波で励起して時間相関単一光子係数法により発光寿命測定を行い,そのダイナミクスの励起エネルギー依存性を比較した。バンドギャップ(E_g)が1.73eV(粒径よ5.4nm)のCdTe量子ドット溶液を第二(400nm),第三高調波(266nm,4.67eV)で励起して発光寿命測定を行ったところ,第二高調波励起で早い寿命成分(約100ps)が観測された。他の粒径のものについても測定したところ,E_gが大きくなるにつれて266nm励起の速い寿命成分の割合が小さくなっていき,1.93eV(4=3.7nm)のとき速い成分がなくなり400nmの減衰曲線と一致した。このことから,この速い成分は逆オージェ効果によって生成する二励起子のオージェ再結合によるものと推定され,CdTe量子ドットでも2.5E_g以上のエネルギーで逆オージェ効果が起こるものと予想された。
|