2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊東 俊司 弘前大学, 理工学部, 教授 (10213042)
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Keywords | 有機酸化還元系 / エレクトロクロミズム / シアニン染料 / 電子・電気材料 / アズレン |
Research Abstract |
安定化された発色系であるシアニン類を用いて、シアニン構造の末端部分を新たなシアニン型の発色系で置換する分子設計(シアニン-シアニンハイブリッド構造)により、電気化学的にシアニン型の発色系間を相互変換するシステムの構築、また、提案するハイブリッド構造の複合化により、多段階の電気化学的な応答性機能の構築を目指して、シアニン構造の片末端部位をシアニン型の発色系で置き換えた分子設計と両末端部位をシアニン型の発色系で置き換えた2種のシステムの構築の検討を行った。 本年度は、結合するπ共役系の選択およびシアニン型の発色系の集積方法の検討により、耐久性を有する2電子ずつの多段階の電気化学的機能の達成を目指した。はじめに、シアニン構造の両末端部位を新たなシアニン型の発色系で置換する分子設計として、これまで我々の研究で実証されてきたジ(アズレニル)メチルカチオンの高い安定性を利用し、数種のテトラカチオン類を新たに合成し、合成したテトラカチオンの高い安定性と期待される多電子の電子移動機能を明らかにすることができた。しかしながら、今回合成に成功したテトラカチオン類においては、電気化学的な酸化還元反応に良好な可逆性は見出だされなかった。 また、片末端部位をシアニン型の発色系で置き換える分子設計に基づき、酸化還元末端基としてニトロベンゼン環およびアニリン環を含む新たなシステムの構築に成功した。このようにして合成したプッシュ-プル型の化合物において期待される両性的な酸化還元機能が発現されることを明らかにした。末端部位をシアニン型の発色系で置換する分子設計は、共役系の組み合わせに、さまざまな多様性があり、今後の共役系の結合様式の選択により、電子移動反応が精密に制御可能となることを期待している。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Synthesis, Stabilities, and Redox Behavior of Mono-, Di-, and Tetracations Composed of Di(1-azulenyl)methylium Units Connected to a Benzene Ring by Phenyl-and 2-Thienylacetylene Spacers. A Concept of a Cyanine-Cyanine Hybrid as a Stabilized Electrochromic System2007
Author(s)
Shunji Ito, Koji Akimoto, Jun Kawakami, Akio Tajiri, Taku Shoji, Hiroyuki Satake, Noboru Morita
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Journal Title
The Journal of Organic Chemistry 72・1
Pages: 162-172
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