2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550026
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊東 俊司 Hirosaki University, 大学院・理工学研究科, 教授 (10213042)
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Keywords | 有機酸化還元系 / エレクトロクロミズム / シアニン染料 / 電子・電気材料 / アズレン |
Research Abstract |
本研究課題では、安定化された発色系であるシアニン類を用いて分子設計されたシアニンとのハイブリッド構造を基に、電気化学的にシアニン型の発色系への相互変換を示すシステムの構築、また、第2の外部刺激(入力)として、熱的な外部刺激を用いた液晶相への相転移機能との複合化、および金属イオンとの超分子構造の生成に基づく光応答性機能との複合化を期待した多重応答性分子の構築に関する検討を行っている。平成19年度は、末端部位をシアニン型の発色系で置き換えた分子設計をさらに発展させ、このようなシステムが実際に期待されるような多電子多段階の電子移動を示す応答機能を示すかどうかを更に検討した。シアニン型の発色系には、これまでの研究で実証されてきた高い分極効果を有するアズレン環を用い、これを結合する新たなπ共役系に電気化学的な酸化還元挙動の安定化効果とキノイド構造に基づく発色を期待したアントラセン環を用いた分子設計を行った。また、プッシュープル構造を有する新たな酸化および還元の両者に応答する機能を有する分子設計も合わせて検討した。その結果、このような分子設計指針により合成した化合物において、期待される電子移動を示す有機酸化還元系が構築できることが明らかになった。また、近赤外領域から可視領域に渡る広範囲に吸収を示すエレクトロクロミズム挙動を有する化合物を見出すことに成功した。また、アニリン環やピリジン環の導入により、金属イオンの配位による吸収スペクトルや蛍光スペクトルに対し応答する機能を併せ持つ有機酸化還元系が構築できることが明らかになった。本研究により、電気化学的な応答機能に加え、第2の入力においても応答性機能を有する多重入力、多重出力型の応答性分子の構築の可能性が明らかになった。
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Research Products
(7 results)