2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柳澤 章 千葉大学, 理学部, 教授 (60183117)
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Keywords | 有機化学 / 触媒・化学プロセス / 不斉プロトン化 / エノラート / キラル触媒 |
Research Abstract |
本研究は、触媒的不斉プロトン化反応や脱ラセミ化反応において、人工的にプロトンの位置および反応性を制御し、高い光学純度で有機化合物を作り分けることができるようなキラルプロトン源、あるいはキラル塩基触媒の開発を目的とする。本年度はキラルルイス酸触媒を基盤とするプロトンメディエーター能力を有する新規不斉配位子(触媒)の開発に焦点を絞り、研究を行った。これまでの研究において、キラル触媒とプロトン源について検討を行った結果、BINAP・AgF触媒が、シリルエノラート化合物の触媒的不斉プロトン化反応に有効であることを見出している。しかし、これまでに良い結果の得られた基質は、メチル基やフェニル基をカルボニルのα-位に有している環状型基質のシリルエノラートのみであり、より実用的な不斉プロトン化反応の実現には、基質の適用範囲の拡大と不斉収率の改善が必要不可欠である。そこで、まず、上記不斉プロトン化反応において、BINAPよりさらに高いエナンチオ選択性を提供できる不斉配位子の探索を行ったところ、p-Tol-BINAPがより優れていることを突き止めた。さらにこの不斉配位子とAgFから形成される錯体を触媒に用いたところ、環状ケトンのみならず鎖状ケトンから誘導したシリルエノラートについても、高いエナンチオ選択性が見られることがわかった。一方、オリゴペプチドを基盤とする有機プロトンメディエーター触媒の探索研究において、既に予備的知見の得られているアスパラギン酸とフェニルアラニンから成るジペプチドをキラル触媒に用い、嵩高いフェノールをアキラルプロトン源として、様々な環状ケトンのリチウムエノラートの不斉プロトン化反応について検討した結果、最高で88%eeの不斉誘導が生じることがわかった。
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