2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550028
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柳澤 章 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (60183117)
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Keywords | 有機化学 / 触媒・化学プロセス / 不斉プロトン化 / エノラート / キラル触媒 |
Research Abstract |
本研究は,触媒的不斉プロトン化反応や脱ラセミ化反応において,人工的にプロトンの位置および反応性を制御し,高い光学純度で有機化合物を作り分けることができるようなキラルプロトン源,あるいはキラル塩基触媒の開発を目的とする。昨年度に引き続き,本年度もキラルルイス酸触媒を基盤とするプロトンメディエーター能力を有する新規不斉配位子(触媒)の開発について重点的に研究を行った。これまでの研究において,キラル触媒について検討を行った結果,BINAP、AgF触媒がメタノールによるシリルエノラート化合物の触媒的不斉プロトン化反応に有効であることを見出している。さらに昨年度の研究で,p-Tol-BINAPがBINAPより高いエナンチオ選択性を提供できる不斉配位子であることを突き止めた。しかし,これまでに良い結果の得られた基質は,メチル基やフェニル基をカルボニル基のα-位に有している環状型基質のシリルエノラートのみであり,より実用的な不斉プロトン化反応の実現には,基質の適用範囲の拡大が必要不可欠であることから,本年度は,薬理活性を有するα-アリールカルボン酸類の触媒的不斉合成を念頭に置き,平成18年度に開発した不斉プロトン化反応の,他の基質への適用を試みた。特に抗炎症剤であるイブプロフェンやナプロキセンのエステルやアミド体のケテンシリルアセタールを基質に選び,上記不斉プロトン化反応について種々検討した結果,最高で30%eeの不斉誘導が観測された。さらに,BINAP・AgF触媒/メタノール系の条件を用いて,アリル型シランおよびアリル型スズ化合物の不斉プロトン化反応についても検討したが,良い結果は得られなかった。
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