2007 Fiscal Year Annual Research Report
エチレン、ビニレン、ジアセチレン架橋ポルフィリン六量体の合成と性質に関する研究
Project/Area Number |
18550029
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
樋口 弘行 University of Toyama, 理工学研究部(理学), 教授 (00165094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 直人 富山大学, 理工学研究部(理学), 准教授 (90281104)
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Keywords | オクタエチルポルフィリン / エチレン / ビニレン / ジアセチレン / 電子吸収スペクトル / 核磁気共鳴スペクトル / 六量体 / 四量体 |
Research Abstract |
特有の光電子物性に基づく機能性を発現する天然色素であるポルフィリン環を、エチレン基・ビニレン基・ジアセチレン基のような性格が大きく異なる架橋基により連結した多量体に関する基礎及び応用研究を系統的に行なっており、本研究は、オクタエチルポルフィリン(OEP)を6個連結した誘導体の合成法を確立するとともに、それらの構造物性を検討することが目的である。本年度は、エチレン基及びビニレン基で架橋したOEP六量体合成法の確立に成功した。その六量体の性質について、電子吸収スペクトルや核磁気共鳴スペクトルを用い、種々の関連化合物と比較検討を行なったところ、本六量体は分子内にビニレン架橋OEP三量体成分を2個併せ持つ性格であることがわかった。特に、溶液中においては、エチレン基で連結したビニレン架橋三量体成分間に特別な渡環相互作用は存在しないことが判明した。一方、このOEP六量体の類似体であるエチレン基及びジアセチレン基で架橋したOEP四量体は、六量体と同様に、分子内に特別な渡環相互作用は存在しないものの、溶液中に水素結合性分子を添加すると、ジアセチレン架橋二量体成分間に大きな励起子間相互作用が観察された(CDスペクトル)。この結果は、エチレン架橋部で大きな配座変化が起こり、ジアセチレン架橋OEP二量体成分間に水素結合性分子が包接されて両成分が空間的にぐんと接近したことを示唆している。よって、包接される分子が光学活性体であれば、その絶対構造をCDスペクトルで判定できるキラリティー試薬としての応用性が期待できる。今後、本研究により得られた成果に基づいて、合成法を確立したOEP六量体についても、その量産を行ない、四量体と同様に、包接挙動を観察する予定である。
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Research Products
(5 results)