2006 Fiscal Year Annual Research Report
弱い相互作用に基づく相関不斉ヒドロキシル化反応の開発と生理活性物質合成への応用
Project/Area Number |
18550031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
依田 秀実 静岡大学, 工学部, 教授 (20201072)
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Keywords | ラクタム / イオウ置換基 / 脱硫反応 / ルイス酸触媒 / ヒドロキシル化 |
Research Abstract |
イオウ置換ラクタムやアルキル誘導体を水溶液中で様々なLewis酸と処理したところ、極めて興味深い脱硫反応がおこり、さらには開環反応を伴わずに高収率かつ位置選択的にヒドロキシル化反応が進行し、tandem型脱硫-ヒドロキシル化生成物が得られることを見出した。そこで3ヵ年に渡ってこの異常現象の解明と、この反応を利用した切れ味鋭い生理活性天然物の全合成を検討したいと考えている。特に平成18年度においては、次の事柄について詳細に検討した。 (1)脱硫-ヒドロキシル化反応を起こさせるにあたり、ラクタムのγ-位におけるアルキル置換基の有無を含めて、骨格はどのような構造、官能基、および置換基を持つものまで対応可能か。 調査の結果、幸いなことに構造については脂環式あるいは芳香族系とも問題なく反応が進行し、官能基の有無についても、その反応性に大きな影響を与えなかった。これらのことより、本反応の一般性が認められた。 (2)ルイス酸としては何が最も適当か、またその添加は触媒量まで下げることが可能か。 用いたルイス酸は比較的その酸性度が低いと考えられる金属のハロゲン化物であるが、その中でも種々検討した結果、銅塩(1価、2価とも)がもっとも有効な試薬であることが収率面から明らかとなった。 (3)ルイス酸に配位可能なchiral auxiliary (or catalyst)を導入した場合、この脱硫-ヒドロキシル化反応にどの程度まで不斉現象を引き起こすことが可能か。その場合、どのような構造を持つchiral auxiliary (or catalyst)が好ましく、機構面でどのような特徴:があるのか。 これまでのところ、chiral auxiliaryを用いた様々の条件化における不斉化反応の模索を検討しているが、残念ながら量論を含めて明確な結果を導き出すには至っておらず、また期待される立体選択性は発現していない。したがって、次年度はこの点から再検討を始めたい。
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Research Products
(6 results)