2008 Fiscal Year Annual Research Report
弱い相互作用に基づく相関不斉ヒドロキシル化反応の開発と生理活性物質合成への応用
Project/Area Number |
18550031
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
依田 秀実 Shizuoka University, 工学部, 教授 (20201072)
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Keywords | ラクタム / イオウ置換基 / 脱硫反応 / ルイス酸触媒 / ヒドロキシル化 |
Research Abstract |
本研究において、芳香族あるいは脂肪族を問わず、γ-位にイオウ置換基を持つラクタムがLewis酸性の低い金属塩のみが存在する水溶液中において、これまでにまったく未知な脱硫-ヒドロキシル化反応を位置および立体選択的に起こし、極めて不安定な4級炭素を含むヒドロキシラクタム類を、開環反応を伴わずに与えることを見い出した。 そこでこれらの異常な反応性を詳細(Lewis酸の種類、温度、水相との混合溶媒の種類等)に検討するとともに、Lewis酸に容易に配位可能なchiral additive(アミノ酸や光学活性アミン等)を添加することにより、酵素を超えた緩やかな水溶液中での弱い配位環境に基づくchemzymaticな不斉脱硫-ヒドロキシル化反応の可能性を詳細に調査した。さらに同一官能基の(3a)から(3b)の平衡に起因するasymmetric desymmetrizationの可能性についても研究を行なった。その結果、asymmetric desymmetrizationに関しては期待した結果が得られなかったものの、chemzymaticな不斉脱硫-ヒドロキシル化反応についてはおよそ40%eeの立体選択性の発現に成功した。 ついでこの反応を利用して、チリ産の植物ヘビノボラスより単離され、強い健胃作用を有するlennoxamineを中心とした生理活性天然物の全合成を行った。その他に、同様の手法を利用して、特化型グルコシダーゼ阻害作用を持つポリヒドロキシアルカロイドの不斉全合成を達成した。
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