2007 Fiscal Year Annual Research Report
テトラナフチル骨格を備えた機能性キラルオニウム塩の創製と実用的不斉合成
Project/Area Number |
18550032
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大井 貴史 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (80271708)
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Keywords | キラルオニウム塩 / ビアリール / 機能性 / 相間移動 / 不斉合成 |
Research Abstract |
初年度に開発したキラルアンモニウム塩を触媒とし、シアン化カリウム(KCN)水溶液をシアノ源として用いたアルジミン類の二相系での不斉ストレッカー反応は、α位に第三級アルキル置換基を有するアミノ酸類の不斉合成に有効だが、それに比べて第一級あるいは第二級置換基を持つアルジミンとの反応では、化学収率、エナンチオ選択性ともに改善の余地を残していた。この原因として、スルホニルイミンの反応性が高いため、1)水が存在する系内での加水分解による収率の低下、2)触媒が関与することなく反応が進行することによるラセミ体の生成が考えられた。これらの克服には、反応条件下でイミンを発生させると同時にシアン化物イオンで捕捉できるような系の構築が理想的であるとの考えに至り、N-アリールスルホニルーα-アミドスルホンを基質として検討を行った。まず、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドから誘導したN-メシチレンスルホニル-α-アミドスルホンを、アルジミンの場合と同様の条件で反応させたところ、望ましいα-アミノニトリル誘導体が定量的に、97%のエナンチオマー過剰率で得られた。さらに、用いるKCNを1.05当量まで減らしても、反応性、選択性に全く影響を与えないことがわかった。この方法により、非常にエノール化しやすいものも含めた様々なα-無置換及び一置換のアルデヒドから導かれるα-アミドスルホンに対して、シアノ化反応が速やかに、かつほぼ定量的に進行する。しかも、相当するアルジミンを基質とする場合よりも一貫して高いエナンチオ選択性が得られることを示し、本法の実用性を明らかにした。
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