2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550035
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坪井 貞夫 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 教授 (00032954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高口 豊 岡山大学, 保健環境センター, 准教授 (10293482)
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Keywords | フラーレン / 光触媒 / デンドリマー / 不均一触媒 / 有機-無機複合体 / 一重項酸素 / 酸化反応 / フラロデンドロン |
Research Abstract |
本研究では、多様な機能が期待されている次世代材料として注目されているフラーレン(C60)に種々の官能基を導入し、光触媒としての機能化をはかり、光酸化反応やエン反応、Diels-Alder反応などの付加反応に応用し、究極的には生理活性天然物合成にも応用できる新規有機合成反応を開発する目的で本研究を行った。各種有機溶媒や水に難溶性のフラーレンをアミンや水酸基、カルボキシル基などの親水性基を持ったデンドリマー(樹木型分子)と結合させることによりフラロデンドロンを合成し、有機溶媒や水に可溶にし、広く有機合成に利用できる端緒を開いた。アミドとカルボキシル基をもつフラロデンドロンは、水中で一重項酸素発生能力を持ち、光線力学療法剤として利用可能なことがわかった。すなわち、HLE(ヒト肝癌由来の肝細胞)を用いたin nitro実験では、レーザー光照射下で癌細胞抑制効果がみられた。次に、デンドリマー末端に糖鎖をもち、アントラセンとフラーレンを連結したフラロデンドロンを合成した。このフラロフラロデンドロンと炭酸カルシウムとの有機無機複合化をはかり、新規な不均一触媒の開発に成功した。このものの存在下、アントラセンデンドリマーに光照射を行うとアントラセン環の光二量化反応がおこり、光触媒作用をもつことが明らかとなった。また、この糖鎖を有するフラロデンドロンは球状分子の周囲が光学活性な結合でできており、不斉合成触媒としての応用が期待される。一方、このフラロデンドロン-炭酸カルシウム複合体は、一重項酸素による光酸化反応のよい光触媒となり、フランカルボン酸からヒドロキシ不飽和ラクトンを、各種オレフィンからヒドロペルオキシドを、スルフィドからフルホキシドを収率よく与えることが判明した。
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