2008 Fiscal Year Annual Research Report
後期遷移金属触媒によるエノレートを経由する不斉アルドール反応
Project/Area Number |
18550038
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
清岡 俊一 Kochi University, 教育研究部自然科学系, 教授 (00036584)
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Keywords | 不斉アルドール反応 / 後周期遷移金属触媒 / キラルニ核Pt触媒 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、X線単結晶構造解析によって構造の確定したμ-ヒドロキソ白金錯体[(R)-BINAP) Pt (μ -OH)]_22Xを用いた1-Methoxy-2-methyl-1-(trimethylsilyloxy)propeneとアルデヒドとの不斉アルドール反応が高いエナンチオ選択性で進行することを明らかにした。本年度はより実用性にとって重要となるジアステレオ選択性を伴った不斉アルドール反応を検討した。1-Benzyloxy-1-(trimethylsilyloxy)propeneをシリル求核剤として用いて各種のアルデヒドとの反応を試みた。反応条件を詳細に検討した結果、DMFへHMPAを10mol%添加した溶媒をもちいることで、反応は触媒1mol%でも十分に進行することが明らかになった。この研究の目標でもあった不斉アルドール反応に有効な実用に耐えるキラル後周期遷移金属触媒を開発するという点をクリアーすることができた。しかもシリル求核剤の幾何異性(EZ)によらずアンチ体が高ジアステレオ選択性に得られることが判明した。室温での反応でさまざまなアルデヒドに対して85%yieldで85%eeレベルの選択性でアルドール付加体が得られることが明らかとなった。この不斉アルドール反応にっいての反応機構の研究も進展した。μ-ヒドロキソ白金錯体の挙動が、反応条件とほぼ同じ環境で、NMRにより追跡された。その結果、DMF中でその2量体構造はすみやかに単量体へ解離していることが確かめられた。またそのアルドール反応は、他の研究者が指摘したようなC-もしくはO-エノレートが形成された後進行するものではなく、触媒とシリル求核剤とアルデヒドが同時に共存するときに起こることが判明した。
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