2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550042
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
清水 敏夫 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 教授 (50192612)
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Keywords | チアクラウンエーテル / 高周期元素化合物 / 不飽和環状化合物 / ホスト・ゲスト化学 / 包接 / 金属錯体 / 飽和不飽和混合系 / 酸化還元 |
Research Abstract |
炭素-炭素単結合と炭素-炭素二重結合で交互に架橋した飽和不飽和混合系チアクラウンエーテルの段階的合成を試み、水素置換およびメトキシカルボニル基で置換した14および28員環飽和不飽和混合系チアクラウンエーテルの合成に成功した。CV法を用いて酸化還元挙動を調べたところ、いずれの場合も非可逆な酸化波が観測され、水素置換の系では環の員数が少ないほど酸化され易いことが明らかになった。また、得られたそれぞれのチアクラウンエーテルの結晶構造を、X線結晶構造解析により明らかにすることができた。その結果、いずれの化合物も環歪みのない構造を持ち、28員環化合物は分子内に長径約15A、短径約5Aの細長い構造であり、空孔を有することがわかった。これらとトリフルオロ酢酸銀との錯形成反応を行なったところ、水素置換の14員環チアクラウンエーテルは1:1錯体を与えることがわかった。また、これらのチアクラウンエーテルと銀塩との溶液中での錯形成挙動をJobs Plotにより検討したところ、14員環チアクラウンエーテルは溶液中でトリフルオロ酢酸銀と1:1錯体を、28員環チアクラウンエーテルは溶液中で1:2錯体を選択的に形成していることがわかった。以上のように、本年度の計画であった分子修飾した飽和不飽和混合系カルコゲノラウンエーテルの合成に成功すると共に、銀イオンとの錯形成挙動を明らかにすることができ、当初の計画をほぼ達成することができた。これらの結果は、不飽和結合を有する高周期クラウンエーテルの合成法と基本的性質を明らかにしたものであり、新しい機能を指向した今後の高周期不飽和クラウンエーテルの化学の礎を築いたものと考えている。
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