2007 Fiscal Year Annual Research Report
安定な超原子価有機テルルアニオン種の創製とそれらの中性オクタヘドラル分子への変換
Project/Area Number |
18550045
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
箕浦 真生 Kitasato University, 理学部, 講師 (30274046)
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Keywords | 超原子価化合物 / 典型元素 / テルル / 超分子化学 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
5本の化学結合を一つの元素上に有するアニオン性化学種は、アート錯体と呼ばれ重要な反応中間体として知られているが、一般に不安定であり反応性や構造は未解明であった。申請者は中心元素にテルルを選び、これまで未知である超原子価有機テルルアニオン種R_5Te^-を合成単離し、その性質を明らかにすることを第一の目的とし、これに求電子試剤を付加させることで、安定な中性6価有機テルル化合物R_6Teへ変換し、その中心テルル周りのオクタヘドラル幾何構造による分子または分子集合体の特性の発現を見いだすことを目的とした。 その結果、初めての超原子価16族元素アニオン種として、Ph_5Te^-Li^+を合成し、低温下黄色結晶として単離し、その分子構造を低温結晶構造解析により明らかにすることに成功した。この超原子価化アニオン種は溶液中では速やかな解離平衡が存在し、-100℃では安定に存在することが明らかとなった。また、テルル上の置換基の電子的影響が解離平衡や安定性に与える影響について明らかにするため、これまでのフェニル基の代わりに、4-メチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基などを選び、検討を行い、4-メチルフェニル基でも合成単離出来ることが判った。 テルル上の求電子試剤による官能基化を検討し、ヨウ化メチルやハロゲン等の求電子試薬との反応では、対応する安定な中性6価有機テルル化含物群へ変換出来た。求電子性の低い試剤との反応は、アニオン種の解離平衡が官能基化の妨げとなることが明らかとなり、申請者らが開発した対応するカチオン種Ph_5Te^+の官能基化の検討も開始した。また上記研究課題の遂行途中で4-メトキシフェニル基を有するテトラアリールテルルが固体中で擬四角錐構造を有することを発見し、今後の研究の端緒も得た。
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Research Products
(2 results)