2007 Fiscal Year Annual Research Report
実験と理論計算による有機反応におけるダイナミクス支配と経路分岐の新規概念の解析
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18550047
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| Research Institution | Rikkyo University |
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Principal Investigator |
山高 博 Rikkyo University, 理学部, 教授 (60029907)
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| Keywords | 有機反応機構 / 遷移状態 / 反応動力学 / 反応経路分岐 / ダイナミクス支配 / SN2反応 / ベックマン転位 / 反応速度論 |
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| Research Abstract |
置換ベンジルメチルケトンおよび置換・-フェネチルメチルケトンのオキシム誘導体のベックマン反応における経路分岐に関する動力学シミュレーションでは経路分岐に及ぼす温度の効果を検討し,熱エネルギーと分岐率との相関関係を見出した。対応する実験では,反応速度と生成物分布に対する置換基効果を求め,経路分岐現象の実験的証左が得られつつある。現在,理論計算の結果を先行して発表すべく,投稿準備中である。
溶液反応を非経験的分子軌道法のレベルで記述することのできる最新の量子化学シミュレーション手法であるフラグメント分子軌道法-分子動力学法(FMO-MD)を用いて,CH_3-N_2^+の加水分解反応を 検討した。条件検討を行った結果,フラスコ中での有機溶液反応の始原系から生成系までの変化を計算機中で再現することに成功した。この結果は,有機化学および計算化学の研究上の一つのエポックメーキングな成果である。この結果の一部は,JACS誌に速報として発表した。CH_3-N_<2+>の加水分解はC-N結合の開裂によって生成するCH_3カチオンが不安定なため,溶媒である水分子の求核攻撃を受けて反応が起こる。この典型的なS_N2反応において,C-N結合の開裂とO-C結合の生成の協奏性を原子レベルで解析した結果,この二つの結合の変化は必ずしも同時に起こるのではなく,また教科書に記載されているような180度の結合角を有する遷移構造を経るのではないことがわかった。これらの結果は,有機溶液反応機構の多様性を示唆しており,この種の研究のさらに異なるタイプの反応への展開が期待される。
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