2007 Fiscal Year Annual Research Report
アンチモン酸イオンを用いた,大きな内部空間をもつネットワーク構造の構築
Project/Area Number |
18550050
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
井本 英夫 Utsunomiya University, 工学部, 教授 (20168529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
単 躍進 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (20272221)
手塚 慶太郎 宇都宮大学, 工学部, 助教 (00334079)
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Keywords | アンチモン / 酸化物 / ホランダイト型構造 / リチウム / イオン伝導 / パイロクロア型構造 / トンネル構造 |
Research Abstract |
昨年度合成した新化合物LiIn_2SbO_6は新しい結晶構造を持つが,粉末X線回折測定に加え,中性子回折の測定を行い,Rietveld解析により結晶構造を決定した。その結果,この構造が乱れのない構造であること,また,リチウムの存在するサイトの空間が予想ほど大きくないことがわかった。いっぽう,より大きなトンネル構造を持つホランダイト型アンチモン酸塩については,遷移金属もネットワーク中に組み込めることがわかった。この系列でいくつかの新化合物が得られ,そのうちの1個について酸化還元反応の触媒活性を測定したところ,活性を持つことがわかった。このことは,アンチモンをもつトンネル型構造酸化物をベースとする新しいタイプの触媒の可能性を示している。また,大きな空隙をもつ新たなアンチモン酸塩として,パイロクロア類似型構造に着目し,ASbWO_6型酸化物(A:アルカリ金属)の系について探索を行ったところ,AがNaの場合について新化合物が得られた。Rietveld法により構造解析を行ったところ,斜方晶系のLiSbWO_6と類似する構造であるが,わずかにゆがんだ単斜晶系と考えられることがわかった。また,AがLiの場合には,文献の報告とは異なりパイロクロア類似型構造の化合物が得られるなど,ASbWO_6型酸化物の構造は大きな多様性を持ち,アルカリ金属の種類や合成法によって種々の化合物が得られることがわかった。このことより,ASbWO_6系化合物が構造的多様性をもち,種々の修飾を行うベースとなること,さらに,イオン伝導体あるいは触媒としての可能性を有することがわかった。
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