2007 Fiscal Year Annual Research Report
含金属小環状アルキン化合物を基盤とする新規な機能性分子の構築
Project/Area Number |
18550065
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 教之 The Institute of Physical and Chemical Research, 化学分析チーム, 専任研究員 (90241231)
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Keywords | ジルコニウム / 5員環アルキン / シクロペンチン / チタニウム / アルデヒド |
Research Abstract |
一般に5員環アルキン化合物は非常に不安定で短寿命な化学種とされている。最近我々は、4族遷移金属を環員中に含む5員環メタラサイクルにおいてはアルキン化合物が極めて安定に存在しうることを見出し、その構造を明らかにした。しかしながらこれらのユニークな化合物群を有機合成上有用な反応として炭素-炭素結合生成反応へ応用する試みはされていなかった。そこでこれら含金属5員環アルキン類の求核的反応性を詳細に検討した。驚くことに一般に金属-炭素結合に観察されるカルボニル炭素への求核反応は通常の条件では全く起こらないことが分かった。一方、弱酸による部分加水分解を受けて生成しするプロパルギル種は、速やかにアルデヒドと反応し、1,3-ブタジエン構造あるいはアレニル構造を有するアルコール類を与えることを見出した。この反応選択性は加えるアミン塩酸塩に依存し、塩酸塩は前者を選択的に与えるのに対し嵩高いボレート塩を用いると後者のみを与える。今後アルデヒドの適用範囲が広がれば選択的な不飽和アルコールの合成法となり得る。また、酸化還元性能を備えた新しい5員環アルキン化合物の合成を目指して、1,2,3,4,5-ヘキサペンタエン類の合成を行なった。芳香環を有する分子は一般に溶解性が低く反応に供しにくいが、4-エチルフェニル基を持つものは一般的な溶媒に適度に溶解し取り扱いが容易なことを見出した。これを用いて現在新規な5員環アルキン化合物の合成を行っている。
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Research Products
(3 results)