2009 Fiscal Year Annual Research Report
含金属小環状アルキン化合物を基盤とする新規な機能性分子の構築
Project/Area Number |
18550065
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 教之 Sophia University, 理工学部, 准教授 (90241231)
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Keywords | 五員環 / 環状アルキン / ジルコニウム / クムレン / ハプトトロピック / イソニトリル |
Research Abstract |
昨年度までの研究で我々は、[5]クムレンを配位子として4族メタロセンとの錯体を生成すると共役型五員環アルキンを形成することを見出した。本年度の研究においては、[5]クムレンの両末端の置換基を嵩高いものにした場合、生成する錯体の配位様式における動的挙動が著しく異なることを見出した。例えば、2,2,5,5-テトラメチルシクロペンチリデン基を有する[5]クムレンにおいては選択的に共役五員環アルキンを形成し、中性配位子の存在下においても全く変化しないのに対して、tert-ブチル基を4つ有するものを用いた場合、トリメチルホスフインの存在下ではη^2-π配位の形式をとる錯体が生成した。nが3以上の[n]クムレンにおいて、五員環アルキン錯体とη^2-π配位錯体の両方をとる例はこれまでにない。さらに、ホスフィン配位子を加えたり、除去したりすることによりこの二つの配位様式を相互に変換できる、即ちハプトトロピックな挙動を示すことを初めて見出した(J. Am. Chem. Soc. 131, 2050-2051 (2009))。またいずれの錯体においても、二分子のイソニトリルが金属-炭素結合へ挿入した、ジアザ五員環化合物を与えた。この挿入反応の過程において、共役五員環アレン化合物は、中間体として一分子のイソニトリルが配位したη^2-π配位錯体を与えることを明らかにし、その中間体の分子構造を決定した。こうした動的挙動は[5]クムレンの置換基に大きく依存する。その要因としては置換基とシクロペンタジエニルなどの金属上配位子との立体反発が主な理由と考えられるが、かさ高さの非常に似通った置換基であるにもかかわらず異なる挙動を示す例もあり、その境界がどこにあるかは今後明らかにする必要がある。
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Research Products
(7 results)