2006 Fiscal Year Annual Research Report
NMRを用いる新規な不足当量同位体希釈分析法による環境有機物質の絶対定量
Project/Area Number |
18550066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井村 久則 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60142923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 弘三郎 茨城大学, 理学部, 教授 (60007763)
大橋 朗 茨城大学, 理学部, 講師 (50344833)
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Keywords | 絶対定量 / 不足当量分離 / 同位体希釈法 / NMR / エステル / ポリエーテル |
Research Abstract |
近年,地球規模での環境保全,国際貿易,健康と安全に関わる分析値の質の保証が重要な課題となっており,様々な無機・有機物質に対しSIトレーサビリティーが証明された信頼性の高い基準分析法(絶対定量法)が必要である。本研究では環境・生体関連有機物質の新規な絶対定量法の開発を目的とし,初年度は基礎検討としてフタル酸エステル,ポリエーテル類を用いてランタニド錯体との反応性(相互作用)を調べた。また,比較のためアルキルフェノールとペプチド類についてはキャピラリー電気泳動分離を用いた絶対定量の基礎検討を行った。 1)フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP),ポリエチレングリコール(400)ジメチルエーテル(PEG400),ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(Tx100)を目的有機物質とし,Eu(III)とPr(III)のヘキサフルオロアセチルアセトン(Hhfa)錯体との付加錯体生成を研究した。溶媒抽出法を用いて検討したところ,DEHPはEu(III),Pr(III)錯体といずれも1:1と1:2付加錯体を生成し,PEG400は安定な1:1錯体のみを形成することが分かり,それぞれの生成定数を決定することができた。 2)シクロデキストリン修飾キャピラリー電気泳動(CD-CZE)を用いて,p-ノニルフェノールのアルキル骨格異性体の分離に対するシクロデキストリン(CD)の効果を調べ,α-CDが優れていることを明らかにした。また,ロイシルロイシンの光学異性体も,Cu(II)とビピリジンを加えて三元錯体を形成させることにより,γ-CD-CZEにより全ての異性体をベースライン分離でき,絶対定量法の基礎が確立できた。
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