2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNAをプローブとする微生物計測システムの開発と環境評価への適用
Project/Area Number |
18550069
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
下村 雅人 Nagaoka University of Technology, 工学部, 教授 (20251853)
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Keywords | 環境分析 / 微生物 / 生物学的分析 / 水晶振動子 / DNA / 共有結合 / ハイブリダイゼーション / センシング |
Research Abstract |
プローブDNAを導入した水晶振動子を用いて微生物の定量を行うために必要なターゲットDNAの抽出・増幅合成技術を確立し,このターゲットDNAのセンシングを試みた。まず,大腸菌を対象として,その16S rDNA(菌種の識別に適した特徴的な塩基配列を有するDNA)を必要量得るための手順((1)菌体からのDNA抽出,(2)16S rDNAの増幅合成,(3)制限酵素によるDNAの切断)を詳細に検討した。その結果,4.7×10^8個の菌体を含む試料液1.0mlから,PCR(Polymerase Chain Reaction)法による増幅合成と制限酵素NlaIIIによるDNA鎖の切断を経て,最終的に,36塩基からなるターゲットDNAの溶液(濃度1.0×10^<-5>M)1.0mlが得られることを確認した。次いで,プローブDNAを導入した水晶振動子(基本周波数21MHz)用いて,このターゲットDNAのセンシングを試みた。プローブDNAの導入によって水晶振動子の発振周波数が143Hz低下し、水晶振動子の表面に7.6×10^<-9>g (9.0×10^<-13> mol)のプローブDNAが導入されたことを確認したのち,大腸菌から抽出したターゲットDNA (16S rDNA断片)とのハイブリダイゼーションを行ったところ,881Hzの発振周波数低下が観測され,ターゲットDNAの結合量は4.7×10^<-8>g (4.2×10^<-12>mo1)となった。この値は水晶振動子の表面に導入されたプローブDNAの量に対してmol換算で4.7倍に相当することから,プローブDNAと相補的な塩基配列を持たないDNA断片の非特異的な結合も起こっていることが示唆された。この非相補的な共存DNA断片の影響をいかに排除するかが今後の課題であり,測定温度および測定溶液の組成(共存する塩とその濃度)の適正化も考慮しながら当該課題に取り組んで行く。
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