2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNAをプローブとする微生物計測システムの開発と環境評価への適用
Project/Area Number |
18550069
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
下村 雅人 Nagaoka University of Technology, 工学部, 教授 (20251853)
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Keywords | 環境分析 / 微生物 / 生物学的分析 / 水晶振動子 / DNA / 共有結合 / ハテブリダイゼーション / センシング |
Research Abstract |
プローブDNAを導入した水晶振動子を用いて微生物の定量を行うために必要なターゲットDNAの計測条件を検討した。DNAの融解温度を考慮して計測温度を40℃とし,DNA検出に用いる緩衝液の種類とそのpHがプローブDNAとターゲットDNAの2本鎖形成に及ぼす影響を調べた結果,pH7.5のHEPES緩衝液が適当であることがわかった。次いで,水晶振動子の表面に固定化するプローブDNAの量を一定としてターゲットDNAの計測を行うことで再現性の向上を図り,50pM程度から1nMの範囲でターゲットDNA結合量の濃度依存性があることを確認した。さらに,水晶振動子表面のプローブDNAへの非ターゲットDNAの結合の有無を調べた結果,水晶振動子の発振周波数低下がほとんど観測されなかったことから,非ターゲットDNAの結合が無視できることが明らかとなった。プローブDNAを導入した水晶振動子を用いるターゲットDNAの計測手法が定まり,その適正条件が把握できたので,河川(信濃川,長岡市内)にて採取した水中の微生物群から抽出したDNA試料について大腸菌の16SrDNA断片の計測を試みた。予め,純粋菌株を用いた実験から大腸菌の個数と抽出される16SrDNA断片の量との関係を把握しておき,発振周波数の測定によって求めた16SrDNA断片の量から採取水中の大腸菌濃度を推算した結果,220個/mlという値を得た。現状では,微生物群中の特定微生物の単独定量を行う他の方法がなく,この値の妥当性を検証することは容易ではないが,水晶振動子を用いるDNAセンシングによって特定微生物の定量についての見通しが得られたことは大きな成果であるといえる。16SrDNAは菌種に特徴的な塩基配列を有しているため,この手法は様々な微生物の定量に応用でき,迅速な環境評価技術としての意義も極めて大きい。
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