2006 Fiscal Year Annual Research Report
PETによる癌診断等の高度化を目指した生体模擬物質中の陽電子挙動の研究
Project/Area Number |
18550084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
平出 哲也 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究主幹 (10343899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 健訓 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 大強度陽子加速器計画推進部, 教授 (40162961)
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Keywords | 陽電子 / ポジトロニウム / 陽電子消滅寿命 / 水 |
Research Abstract |
1.試料への陽電子入射を検出器通過により得る、新しい陽電子寿命測定装置の製作を実際に行って次のような成果を得た。陽電子消滅寿命測定は従来Na-22などの陽電子放出と同時にγ線を放出する放射性同位元素を用いることで行われてきた。この陽電子放出の際に放出されるγ線を試料への陽電子入射時刻の情報とし、試料内で陽電子が2光子消滅した際に放出される511keVの消滅γ線によって陽電子の消滅時刻の情報を得る。この手法の場合、線源を試料内に入れる必要があり、液体試料などでは線源の破損が危倶される。また、線源のフィルムなどの中でも陽電子は消滅するため、解析時にその成分を差し引く必要がある。現在、一部の研究グループで陽電子放出の際にγ線を放出しない核種からの陽電子を透過型アバランシェフォトダイオード(APD)を透過させ、その際のAPDからの信号を陽電子の試料への入射時刻として用いる方法で陽電子消滅寿命測定が可能となっており、上記のような線源を試料内部に入れるための弊害を取り除くことが出来ている。我々はこれと同様の装置を製作し、APDの透過陽電子の検出効率が50%以上あることを実験によって確認し、2つ以上の陽電子が陽電子消滅寿命の時間レンジ内に試料中に入ることを検出することにより、ランダム同時計測により発生する寿命スペクトル上のバックグラウンド成分を低減する事が可能であることを実験により確認した。これは長寿命成分を精度良く検出することを可能にした。 2.生体物質において重要となるのは水であるが、水は極めて特殊な物質であり、他の物質中では見られない現象を解明して行く必要がある。また、イオン液体中でも水中同様、あるいはそれ以上に特殊な現象が見られる。塩の存在下で陽電子がどのような挙動を示すかについて基礎的なデータを得るために、水、イオン液体中における陽電子挙動を陽電子消滅寿命測定法で研究を開始した。
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