2006 Fiscal Year Annual Research Report
チオエーテル配位子を用いる光学活性錯体触媒上の精密不斉空間制御と高選択性の獲得
Project/Area Number |
18550091
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
星 隆 新潟大学, 自然科学系, 助手 (20303175)
|
Keywords | 光学活性配位子 / 触媒的不斉合成反応 / 不斉アリル化反応 / パラジウム触媒 |
Research Abstract |
優れた光学活性配位子であるBINAPのモノスルフィド類縁体S-MOPを単一のエナンチオマーとして合成出来る新規合成ルートを開発した。研究代表者は既に光学的に純粋なS-MOPの合成法を開発しているが、今回開発した新規合成ルートはこれまでの合成ルートで問題と成っていた容易にラセミ化する反応中間体を含まず、さらに同一の原料からより少ない工程数でS-MOPをより高収率で合成出来る簡便で実用的な合成ルートである。 また、S-MOPのRh錯体の合成とX一線結晶構造解析に成功し、S-MOPが配位した不斉合成錯体の反応性および選択性に関する構造化学的知見を得ることに成功した。なお、BINAPが配位したRh錯体のX-線結晶構造解析が既に報告されており、今後両者を比較することでS-MOPの光学活性配位子としての機能を更に明らかに出来ることが期待される。さらに、S-MOPの光学活性配位子としての利用を検討したところ、ジメチルマロネートと1,3-ジフェニルプロベニルアセテートとの不斉アリル化反応にS-MOPが配位したPd錯体を触媒として2mol%使用すると、アリル化生成物が収率90%、選択性95% eeで得られることが明らかになった。さらに、本反応の収率および選択性は、ジメチルマロネートのエノレごトを発生させる際に使用するアルカリ金属アセテートの金属に大きく依存し、LiOAcの時に収率、選択性共に最も良い結果が得られることが明らかになった。今後、収率および選択性への金属イオンの関与を更に検討し、その作用機序を明らかにする予定である。また、BINAPを用いた同じ不斉アリル化反応の選択性は32% eeと極めて低いことから、S-MOPの優れた選択性と配位子設計の妥当性を示すことが出来た。
|