2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今田 泰嗣 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教授 (60183191)
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Keywords | 有機分子触媒 / フラビン触媒 / ヒドラジン / ジイミド / 水素添加反応 / 酸素酸化反応 / 環境調和型反応 / グリーンケミストリー |
Research Abstract |
申請者は単純な有機分子を触媒とし、酸素分子を共酸化剤として用いる環境調和型の触媒的酸化反応の開発を進めている。本研究課題は、申請者が既に開発しているフラビン分子を触媒とする酸素分子活性化システムを基盤とし、有機分子触媒による温和な条件下での高選択的な酸素酸化反応系を構築することを目的としている。今年度は、フラビン触媒を用いるヒドラジンの酸素酸化により生成するジイミドを水素源とするオレフィンの水素添加反応に焦点を絞り、基質の適用範囲および触媒のスクリーニングを詳細に検討し、金属触媒や水素ガスを用いない、従来型の水素添加反応に取って代わる実用的なオレフィンの水素化手法を確立した。 1.従来型の水素ガス/金属触媒による水素化条件に適用不可能なオレフィン基質について、フラビン触媒/ヒドラジン/酸素系による水素添加反応が効率よく進行することを明らかにした。具体的には、金属触媒反応では触媒毒となる含硫黄オレフィン基質あるいは従来型の水素添加法では脱保護が進行するCbz置換基およびベンジルエーテル、ベンジルエステル置換基を有するオレフィン基質の選択的水素添加反応に適用可能であることを示した。 2.これまで、5-置換フラビニウム塩を触媒とする反応を検討してきたが、フラビン分子触媒のスクリーニングを行い、リボフラビンに代表される入手容易な5位無置換フラビン分子が触媒として働くことを明らかにした。特に市販の四酪酸リボフラビンが高い触媒活性を示すことを明らかにし、これにより、市販で安価な触媒および還元剤の組み合わせによる実用的なオレフィンの水素化反応を確立した。 3.フラビン触媒の回収再利用による触媒の高効率化および周辺環境の制御による高機能化を指向して、表面をフラビン分子で修飾した金ナノ粒子を合成し、これが均一系フラビン分子よりも高い触媒活性を発揮する、回収再利用可能な触媒であることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)