2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属を内包したキラルなシロキサンゲル反応場による不斉反応の実現
Project/Area Number |
18550095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本山 幸弘 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教授 (20283492)
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Keywords | 合成化学 / 不斉反応 / 触媒・化学プロセス / 固定化触媒 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光学活性有機官能基が架橋したキラルシロキサンゲルを構築すると同時に触媒を自己カプセル化し、生成した「金属内包シロキサンゲル」を触媒として用いることで、ゲル内部の不斉環境を活用した高立体選択的不斉反応を達成すると共に、生成物の分離と触媒の回収、ならびに再利用が容易な実践的不斉触媒反応の実現を図ることである。 本年度は、ヒドロシリル化能を有する3核ルテニウムカルボニル錯体、ポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)、ならびに種々のジオールを架橋剤として用い、(1)架橋度の異なるゲル触媒、(2)ジオールの種類を変えたゲル触媒のライブラリー、さらに(3)ゲル触媒による反応探索、の3点を中心に行なった。 (1)では、まずエチレングリコールを用い、架橋度ならびに残存Si-H量の異なる架橋ゲル触媒を種々合成し、その基礎的物性について検証した。その結果、PMHSのSi-H基に対し半分のジオールを用いると、再現良く膨潤-収縮を繰り返すこと、残存Si-H基があると次第にゲル触媒が変質すること、ゲル内外の物質移動は速く反応場として機能可能なことを見出した。(2)では、光学活性体を含む種々の芳香族・脂肪族アルコールからなるゲル触媒を合成し、ゲル内部の分子認識能を検証した。その結果、架橋剤の種類によらず、ゲル内は多少ではあるが極性基質を好むことを見出した。さらに(3)ではアルケン類の水素化ならびに異性化反応に活性を有することを見出した。特に異性化は穏和な条件下で定量的に進行し、粗生成物中への金属溶出もほとんどなく、再利用も可能であった。この結果をアリルエーテル類に適応することで、簡便なアリル保護基の脱保護プロセスを確立し、学会発表を行なった(論文作成中)。 さらに白金触媒、PMHS、アミド化合物からも同様に白金を内包したシロキサンゲルが生成すること、さらにこの白金内包ゲルはアルケンの水素化活性を有することも見出した。
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