2007 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ナノカプセルにおけるガラス転移ダイナミックスの特性化
Project/Area Number |
18550107
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
佐々木 隆 University of Fukui, 工学研究科, 准教授 (50242582)
|
Keywords | 高分子構造・物性 / ガラス転移 / ナノカプセル / 示差走査熱分析 |
Research Abstract |
棒状の炭酸カルシウムウィスカル(長さ3μm、直径300nm)の表面に厚さ20〜80nmの架橋ポリスチレンシェル層を形成させた試料について、ガラス転移温度(Tg)とTgにおける特性長ξ(Tg)をstep-scan法DSC、および温度変調DSC法により評価した。得られた結果より、バルク試料に対するシェル層のTgの比は、膜厚の減少とともに増大することがわかった。これはコア/シェル界面での高分子鎖の吸着による易動度の低い層が存在することにより説明できる。しかしながら、中空試料のTgについても同様の傾向が見られた。この理由は明確ではないが、1つの原因としては、架橋の不均一性、すなわち、架橋セグメントの界面付近への集中が考えられる。また、バルク試料に対するシェル層の動的な特性長ξ(Tg)の比は、膜厚の減少とともに減少することがわかった。これは、膜厚の減少とともにガラス転移温度(あるいは易動度)の分布が幅広くなることを示唆している。得られたξ(Tg)を上記の界面近傍の易動度の低い層の厚さと同程度であると仮定すると、易動度の低い層のTgは架橋度に依存して450〜560K程度と見積もられた。 シェル層を架橋ポリメタクリル酸メチルとしたカプセル粒子の合成を行い、Tgの測定を行った結果、架橋ポリスチレンシェルと定性的に同様の傾向がみられた。また、シェル層のモルホロジーは架橋ポリスチレンとは異なり、表面がなめらかで厚さの薄いものが得られることがわかった。これは重合のメカニズムが架橋ポリスチレンとはかなり異なることを示唆している。
|
Research Products
(3 results)