2007 Fiscal Year Annual Research Report
サレン型金属錯体を基軸とした環状モノマーの効率的精密重合触媒の設計と応用
Project/Area Number |
18550108
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野村 信嘉 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 助教 (70291408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 芳彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60283412)
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Keywords | サレン / ホモサレン / 開環重合 / ポリエステル / 触媒 / アルミニウム / 立体選択性 / 精密重合 |
Research Abstract |
これまで検討した様々なサレン型配位子の中から、tBuMe_2Si基を有するホモサレン-アルミニウム錯体を用いてラクチドとε-カプロラクトンとの共重合を検討したところ、そのポリマーのラクチドユニットの平均鎖長は2.0、カプロラクトンの平均鎖長は2.0と、統計的に理想的なランダム共重合と同じ平均鎖長の共重合体が生成することが分かった。さらに、従来のランダム性の評価として用いられてきた、モノマーそれぞれの反応性比r_<LA>およびr_<CL>の積r_<LA>×r_<CL>=1.0_5と、従来の評価方法では理想的なランダム共重合体の合成に成功した。両モノマーがほぼ反応した時点で生成したポリマーの多分散度指数は1.1_5と分布の狭いポリマーが生成した。モノマーの反応性比は、それぞれr_<LA>=1.7_2およびr_<CL>=0.62であったため、重合途中のポリマーの組成を適当な時間ごとに調べた。重合途中のポリマーの分析によって、重合初期にはラクチドが多く重合し、徐々にカプロラクトンの割合が増していくことが分かった。つまり、従来のランダム性の評価方法では、真にランダム性の高いポリマーであるかどうかの評価が十分でないことが分かった。理論的に理想的なランダム共重合体の合成には、r_<LA>=r_<CL>=1である重合触媒が求められる。先に報告されている重合触媒ではr_<LA>>>1>r_<CL>で、r_<LA>はr_<CL>の30倍から140倍程度の値を示すことが報告されているが、我々の触媒ではわずか3倍であることから、反応性の低いカプロラクトンをいくらか過剰(ラクチドに対して1.8当量)用いると、見かけの反応性比r_<LA(app)>=r_<CL(app)>=1となり、実際に分子量、および分子量分布を制御した理想的なランダム共重合体の合成に初めて成功した。
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