2008 Fiscal Year Annual Research Report
サレン型金属錯体を基軸とした環状モノマーの効率的精密重合触媒の設計と応用
Project/Area Number |
18550108
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野村 信嘉 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 助教 (70291408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 芳彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60283412)
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Keywords | サレン / ホモサレン / 開環重合 / ポリエステル / 触媒 / アルミニウム / 立体選択的 / 精密重合 |
Research Abstract |
前年度検討したtBuMe_2Si基を置換基に有するホモサレン-アルミニウム錯体は、ラセミラクチド(LA)に対してε-カプロラクトン(CL)を1.8当量用いて共重合を行うと、LAのモノマー転化率が70%までに重合を停止することで、これまで合成が困難であった理想的なランダム共重合体を与えることを見出した。しかしその場合、少なくともLAに対して1.1当量(110%)のCLと30%のLAは反応させずに重合を停止することになり、無駄が多く、効率的とは言えなかった。そこでさらに詳細に検討を重ね、置換基に嵩高いiPr_3Si基を有するホモサレンーアルミニウム錯体を用いることで、CLとLAとを1対1のモノマー比で重合しても、モノマーの転化率にかかわらず、常にほぼ同じモノマー転化率を示すことを見出した。生成した重合体のモノマー平均差長(平均でいくつのモノマーが連続しているか)を調べると、生成した重合体ではモノマーの平均差長が1.7から1.8を示し、理想的なランダム共重合体の平均差長2に近い値であった。この重合系では、分子量および分子量分布の制御が可能であり、リビング重合性も有していた。本重合では、従来の触媒では全く異なる反応性を示す二種類のモノマーを、触媒設計により同じ反応速度へと高度に制御する事に成功した精密重合である。こうして合成されたランダム共重合体は、モノマー分布の偏りがないため、ブロック共重合とは異なり分子レベルで均一の性質を示すと考えられ、医療用材料など、様々な応用が期待される。
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Research Products
(6 results)