Research Abstract |
1.らせん高分子が示す圧電性の実験的追及 らせん高分子であるポリ(L-乳酸)(PLLA)の圧電性はその高次構造に依存する.一方,結晶性高分子をCO_2超臨界処理すると,結晶や非結晶域に多くの影響を与え,高次構造が変化することが報告されている.そこで,PLLAに施す超臨界処理の条件(圧力,温度)を種々変え,その圧電物性への影響を追及した.その結果,超臨界処理により,未処理のPLLA filmより圧電率が80%以上(二倍弱)大きくなっていること,ヤング率も大幅に変化することが分かった.更に,原子間力顕微鏡(AFM)でその構造変化を観測した.すると,超臨界処理前のPLLA filmで大きく発達している構造体が,超臨界処理を施すことで小さな構造体に変化し,より均一化していることが分かった.超臨界処理によるこの構造変化が圧電率の上昇を引き起こし,外から与えた歪が構造体に有効に加わることで,発生する分極量が大きくなっていると示唆された. 2.高精度な圧電性評価システムの確立 圧電性は,応力(歪み)を与え,分極の変化量を測定する.開発してきた圧電処理システムの中に非線形処理回路を組み込むことで,周波数領域は限られるが,ノイズから信号を収得できるレベルが著しく向上し,従来より高精度な圧電測定が可能になった.即ち,固体の変形モードが複雑になる大きな応力下ではなく,目標としていた低応力や低歪下の線形領域で,精密な圧電測定が可能になってきた.
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