Research Abstract |
1.アミノ酸修飾キトサン樹脂の合成と樹脂物性EGDE架橋キトサン樹脂に,グリオキシル酸スペーサーを介し、DCC/HOBt法により各種保護アミノ酸を作用した樹脂を15種合成した。高塩基性のLys、Arg等で高導入量となり,総イオン交換容量は約2.1〜6.7mmol/g-樹脂であり,特に,アニオン交換容量の増加が顕著に見られ,アミノ酸の導入により両性イオン交換能が強化されていることが分かった。樹脂の酸解離定数は、導入アミノ酸の官能基と側鎖のpKa値をほぼ反映しており,導入アミノ酸固有の性質を維持していた。また,樹脂の比表面積は母材と較べ約2倍以上となり,湿潤時に多少膨潤性を認めた。 2.金属イオンの捕集性能 バッチ法により求めた平衡吸着量は,第一遷移系列元素では,酸性域で低吸着量であったが,母材アミノ基のpKa値(6,62)を境に、アルカリ性域では1mmol/g-樹脂以上の高吸着性を示し、錯形成に於けるIrving-Williams系列との相関が認められた。一方,白金族イオンは、強酸性域で極めて高い吸着容量を示し、6M塩酸中でも,60%以上の高吸着能を得た。アルカリ性域では吸着量は急激に低下したが,これは,液性により吸着機構が異なり,酸性域では強固なイオン会合,アルカリ性域では錯形成吸着することを示唆している。 3.溶離剤と樹脂の耐性 樹脂に吸着した遷移系列元素は,塩酸及び硝酸溶液を用い容易に溶離可能であった。白金族元素は,還元剤のチオ尿素を含む塩酸溶液では,Ir、Os, Ruを除きほぼ定量的な回収率が得られ、KCNを含む水酸化ナトリウム溶液では、Pt, Pd, Auに定量的な回収が見られた。また,本樹脂は耐酸耐アルカリ性に優れ、10回の吸着・脱着を繰り返しても,回収率に殆ど変化の見られないので,繰り返し再使用に耐え得る両性イオン交換樹脂であることが明らかとなった。
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