Research Abstract |
1.アミノ酸修飾キトサン樹脂の物性 合成樹脂のアミノ酸導入量,イオン交換容量(カチオン,アニオン),酸解離定数,BET式より求めた樹脂表面積等の物性値を集積した。また,母材,合成樹脂,貴金属イオン吸着樹脂のFT-IR測定値を比較し,キトサン樹脂のfreeアミノ基へのアミノ酸の導入と,C-N及びC-0伸縮振動(1065cm^<-1>)の強度低下より,導入アミノ酸アミノ基とカルボキシル基が金属イオンの吸着に関与することを確認した。更に,SEM画像より,キトサン樹脂はアミノ酸修飾により,吸着に有利なより多孔性となることが観察された。 2.吸着等温線と吸着速度,熱力学的パラメーター 貴金属イオン濃度を変え吸着等温線を収集した結果,Freundlich型よりLangumuir型吸着に高い相関性を認め,吸着過程は吸着活性点での単分子層吸着に支配されていることが分かった。また,吸着平衡定数,吸着容量を求め,Lys修飾樹脂は既存樹脂に比べ白金の優れた吸着材であることを明らかにした。吸着速度論的機構を探索するため,擬一次,擬二次速度論モデルによる実験値の解析を行い,擬二次式で表される速度パラメーターに高い相関係数を認め,化学吸着が吸着律速となることを認めた。更に,吸着に及ぼす温度依存性を追跡し,Van't Hoffプロットより熱力学的パラメーターを収集し,吸着反応は自発的で発熱反応であり,固一液界面の無秩序さの低下が系の安定化に寄与していることが分かった。 3.金属イオンの相互分離 溶離剤にチオ尿素塩酸系を用い,カラム法によるPt-Ir,Ir-Ru,Au-Ir等の定量的相互分離を達成した。また,白金族イオンと第一遷移系列元素の分離係数は,共存系で10^3以上であり,これら重金属と白金族イオンの相互分離と分離精製法が開拓された。
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