2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550141
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
内田 美穂 東北工業大学, 工学部, 助教授 (10292236)
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Keywords | 燃焼炎 / 水溶液反応 / ラジカル / 物質移動 / キレート剤 |
Research Abstract |
燃焼炎を水溶液表面に吹きつけると、燃焼炎中に生成する種々の化学種が水溶液中に供給され、様々な反応を引き起こす。本研究ではこの原理を利用し、キレート剤(EDTA:エチレンジアミン四酢酸NTA:ニトリロ三酢酸)の酸化分解に燃焼炎を用いるラジカル供給法を適用した。水素一酸素燃焼炎下で水溶液中に生成した過酸化水素濃度は時間経過とともに増加した。EDTAまたはNTA溶液中では有機化合物が含まれていないリン酸緩衝液のみの溶液とほぼ同量のH_2O_2が生成した。硝酸イオン、亜硝酸イオンが、EDTA、NTAの分解、無機化により成する。亜硝酸イオンについてはリン酸緩衝液とEDTA溶液については30分まで増加し、その後減少した。NTA溶液については殆ど変化は見られなかった。EDTAとNTA濃度の経時変化は、NTAでははっきりした変化は見られなかったが、EDTAについては60分で初期濃度の25%程度まで減少した。EDTA濃度は反応開始直後から一様に減少している。一方NTAはその濃度が反応開始から殆ど変化しなかった。測定結果から、キレート剤(EDTA、NTA)は水素一酸素燃焼炎によるラジカル供給において、EDTAは時間とともに分解が進み、NTAはほとんど分解しないことがわかった。溶液内の炭素収支の解析結果から、60分では、EDTA溶液では17%がCO_2または炭酸塩に変化し、54%はNTA、シュウ酸などの有機酸の反応中間体に変化、残りはEDTAとして残留した。これに対しNTA溶液では14%がCO_2または炭酸塩、1%が有機酸中間体、85%はNTAとして残留していた。既往の促進酸化処理法によるEDTAの分解機構として中間体にNTAが生成することが確認されている。本実験結果とあわせて考えると、EDTAはNTAまでは分解しやすいが、NTAはCO_2や他の物質に分解されにくいことを示している。
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