2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550141
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
内田 美穂 Tohoku Institute of Technology, 工学部, 准教授 (10292236)
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Keywords | 燃焼炎 / 水素 / 水溶液反応 / ラジカル / キレート剤 / 炭素収支 |
Research Abstract |
燃焼炎を水溶液表面に吹き付けると,燃焼炎中に生成する種々の化学種が水溶液中に供給さ,様々な反応を引き起こす。本研究ではこの原理を利用し,キレート剤(エチレンジアミン四酢酸,EDTA:ニトリロ三酢酸,NTA)の酸化分解に燃焼炎を用いるラジカル供給法を適用した。前年度の不活性ガス(アルゴン)雰囲気下でのキレート剤の分解性検討に引き続き,今年度は本法の実際的な適用を考える上で重要となる空気雰囲気下で同様の反応を行い,その影響について検討した。 水素-酸素燃焼炎中で主に発生する酸化剤であるヒドロキシルラジカルの二量化により生成する過酸化水素は,不活性ガス雰囲気下ではその生成量は分解対象物であるキレート剤の有無によりほとんど変化しなかったのに対し,空気雰囲気下ではキレート剤無しの場合と比較して過酸化水素生成量は20%程度に減少した。一方で,空気雰囲気下では燃焼炎の吹きつけ時間に伴い,火炎中に生成する窒素酸化物等が反応溶液中に溶解することで生成した硝酸イオン,亜硝酸イオンの生成量の増加が確認された。EDTA中の炭素の無機化(完全酸化分解)は両雰囲気下とも反応時間60分で20%程度であり,EDTAとしての分解率は不活性雰囲気下70%,空気雰囲気下50%であった。またNTAの分解において反応の初期に誘導期間がみられた。これらの結果より,水溶液中のEDTAの分解においては気相の雰囲気調整が,有効な酸化活性種を低減させずに,水溶液に供給するために有効な反応条件であることが示唆された。これに対し,両雰囲気下ともにNTAの分解は同程度(15%)にしか進まないことから,分解機構の律速に関わる段階については気相雰囲気の制御による酸化活性種の増減には影響を受けないことがわかった。
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