プロトン伝導性高分子用モノマーとしての芳香族ヒドロキシフタル酸の酵素的合成

2007 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 18550143
• Research Institution: Waseda University
• Principal Investigator: 石井 義孝 Waseda University, 付置研究所, 准教授 (70339688)
• Keywords: グリーンケミストリー / 生物的合成 / 構造機能活性相関

Research Abstract

本研究では、プロトン伝導性高分子のモノマー種として、2-ヒドロキシイソフタル酸(2HP)および3-ヒドロキシ-4-メチルフタル酸の新規な酵素的合成法を開発することを目的としている。
(1)新規炭酸固定反応を有する微生物のスクリーニング
新たに2HP脱炭酸活性を有する徴生物のスグリーニングを行ったが、当該活性を有する新規な微生物の取得はできなかった。
(2)既取得菌を生体触媒として利用した3-ヒドロキシ安息香酸(HBA)のカルボキシル化の検討
3HP資化性微生物として取得している3株の3HPからHBAへの脱炭酸活性について検討した結果、WU-0404株は脱炭酸したHBAを完全分解するが、WU-0402株やWU-0403株は3HPの減少に伴い化学量論的にほぼ等しいHBAの増加が確認された。さらに、この3株について、HBAから3HPへのカルボキシル化反応をについて検討したが、当該反応を確認することはできなかった。
(3)3-ヒドロキシフタル酸(3HP)脱炭酸酵素遺伝子クローニング
芳香族ヒドロキシカルボン酸脱炭酸酵素の共通配列の情報を基に、WU-0404株から3HP脱炭酸酵素のPCRクローニングを実施した。その結果、既知の芳香族ヒドロキシカルボン酸脱炭酸酵素と40%程度の相同性を示す酵素を取得した。本遺伝子を高発現した大腸菌内は、3HPに対する脱炭酸活性およびHBAに対する炭酸固定活性を示さなかった。
(4)3HP脱炭酸酵素の精製および遺伝子クローニング
WU-0404株から3HP脱炭酸活性を有する酵素を、4段階の種類のクロマトグラフィーにより精製した。本精製酵素のN末端はブロックされており、N末端アミノ酸配列の決定ができなかった。SDS-PAGEから推定される分子量は、炭酸固定反応を示さない脱炭酸酵素の分子量と類似することから、精製した3HP脱炭酸活性を有する酵素は炭酸固定活性を示さないものと推定した。