2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 好幸 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 准教授 (70333797)
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Keywords | 水銀イオン / DNA / NMR / 水銀除去 / 構造解析 / チミン-水銀-チミン塩基対 / 物性解析 / DNA-金属イオン相互作用 |
Research Abstract |
本研究課題では近年問題とされている、自然環境中の水銀を補足・除去するためのデバイス開発を行った。本研究の着想は研究代表者の行ってきた核酸-金属相互作用解析、特に、水銀イオンとDNAチミン塩基の塩基対形成に端を発している。本研究代表者はDNA二重らせん分子中にチミン-チミン(T-T)ミスマッチが存在した場合、このミスマッチが水銀イオンの特異的結合ポケットとなることを報告している(J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, 2172-2173.)。さらに前年度の研究によりチミン塩基がどのような構造で水銀イオンを認識しているかを明らかとした(J. Am. Chem. Soc., 2007, 129, 244-245.)。従って本年度の研究では、DNA分子の本性質を利用した水銀イオン除去回収デバイスの開発を行った。具体的には水に不溶性の固相ポリマー樹脂上にT-Tミスマッチを含むDNAオリゴマーを結合担持した水銀イオントラップ樹脂(水銀イオントラップデバイス)を化学的に合成した。ICP発光分光法を用いて本デバイスの水銀イオン除去能力を評価したところ、本デバイスは水溶液中から水銀イオンを補足・除去する能力があることが証明された。さらに興味深いことに本デバイスは水銀イオンに対する特異性が既存のデバイスより高いことが示された。本性質は自然環境中のような多くのミネラル成分が共存している環境下でも本デバイスが機能することを示しているデータと考えられる。このように基礎研究に根差したデバイス開発の結果、高機能かつ高精度の水銀イオン除去デバイスの開発に成功した。
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