2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550151
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小比賀 聡 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (80243252)
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Keywords | 人工核酸 / オリゴヌクレオチド / アンチジーン / 遺伝子発現制御 / 転写制御 / 架橋型核酸 / DNA / 三重鎖核酸 |
Research Abstract |
今年度は、主に人工核酸分子の精密構造制御と遺伝子発現挿制への展開について研究を進めてきた。以下に成果の概要を示す。核酸が形成する二重らせん構造の外側はリン酸ジエステル結合等のバックボーンが取り巻いており、遺伝子発現制御を考える際に肝心となる核酸塩基は、らせんの中央に位置している。そのため、塩基配列を認識するための分子はメジャーグルーブ或いはマイナーグルーブと呼ばれるDNAらせん上の二つの溝のいずれかにそってアクセスすることが必要である。申請者は、分子認識の要となる各種官能基の配置を考慮し、メジャーグルーブ側からオリゴヌクレオチドを用いた三重鎖形成により塩基配列の認識を行った。天然の三重鎖形成オリゴヌクレオチドによる塩基配列の認識はA及びGといったプリン塩基に限定されており、TやCといったピリミジン塩基は認識できない。そこで、まず計算化学的手法により、新たなヘテロ環化合物の設計を行った。すなわち、標的とする塩基対とこれを認識するヘテロ環化合物に対しそれぞれ分子軌道計算を行い、それらの電子密度表面上に投影した静電ポテンシャルを解析することで核酸塩基とヘテロ環との分子認識の成否を予測した。また一方で、生体内においてDNA結合タンパク質が二重鎖DNAの塩基配列をどのように識別しているかという点を参考に、新たなヘテロ環化合物の分子設計を進めた。このようにして設計したヘテロ環化合物を申請者らが既に開発した架橋型フラノース類とカップリングさせ非天然の核酸分子へと導くことに成功した。得られた非天然核酸は三重鎖形成オリゴヌクレオチドへ導入し、標的となるDNA配列を厳密に認識し得るか否か詳細に評価した。その結果、今回開発した人工核酸分子により、TやCといったピリミジン塩基の認識が可能であることが見いだされた。さらに、これら人工核酸を細胞系における遺伝子発現制御に利用し、極めて良好な知見が得られている。
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Research Products
(3 results)