2006 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌発現法と精密化学合成を利用した大型糖タンパク質の合成
Project/Area Number |
18550155
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
梶原 康宏 横浜市立大学, 大学院国際総合科学研究科, 準教授 (50275020)
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Keywords | 糖タンパク質 / 糖ペプチド / 糖鎖 / 糖鎖アスパラギン / ペプチド固相合成 / 大腸菌 / プラスミド / シアン化臭素 |
Research Abstract |
本研究では、化学的に調製した糖鎖ペプチドチオエステル誘導体と大腸菌で発現したペプチドフラグメントをNative Chemical Ligation(NCL)法をもちいて連結させ、大型糖タンパク質を合成すること検討した。18年度は、この研究に必要な糖鎖ペプチドの調製、およびペプチドの大腸菌発現に必要な基礎実験を中心に検討した。ヒト型糖鎖を持つペプチドチオエステルは、アミノ酸30残基からなるものをFmoc固相合成により調製した。ヒト型糖鎖とペプチド鎖は、合成する候補(共刺激糖タンパク質のレセプター)、およびそのモデル化合物(エリスロポエチン、ヒト型IgG-Fc部位)を選び検討した。ヒト型糖鎖がアスパラギンの側鎖に天然型で結合したものとペプチド中のシステイン残基にブロモアセトアミド糖鎖を結合させて調製した誘導体の2種類合成した。大腸菌発現によるペプチド鎖の調製は、アミノ酸130残基程度のものを2種類調製した。プラスミドは、pET16をもちいてN末端側にHisタグを導入した。またHisタグと目的ペプチドの間にメチオニンを導入し、His-Tag-メチオニン・システイン-目的ペプチド配列という融合タンパク質の発現を計画した。この方法はイギリスのグループが1例報告したものである。ペプチドは、インクルージョンボディーとして大量発現し、グアニジン溶液に可溶化後、His-Tag用のアフニティーカラムに通し、精製した。質量分析、HPLCをもちいて解析したところ、目的とするペプチドフラグメントを得た。HPLCで更に精製後、蟻酸溶液中シアン化臭素で処理し、目的ペプチドとHis-Tag-メチオニンのC末端側での切断を検討した。HPLCおよび質量分析により、目的とする加水分解がおこりN末端にシステイン残基をもつペプチドを大腸菌で得ることに成功した。そして、このペプチドフラグメントと化学的に調製した糖鎖ペプチドチオエステル体との間でNCL法を検討して単一構造の糖鎖をもつタンパク質の調製の検討をはじめることができた。19年度は、これら確立した一連の方法をもちいて、分子量2万以上の糖タンパク質の調製を検討する。
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