2008 Fiscal Year Annual Research Report
生物が利用するポルフィリンの側鎖が非対称であることの生理的意義
Project/Area Number |
18550159
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
小俣 義明 Yokohama College of Pharmacy, 薬学部, 教授 (20268840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 正人 久留米大学, 医学部, 教授 (10124611)
東元 祐一郎 久留米大学, 医学部, 準教授 (40352124)
佐藤 秀明 久留米大学, 医学部, 準教授 (60271996)
杉島 正一 久留米大学, 医学部, 講師 (30379292)
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Keywords | ポルフィリン / ウロポルフィリノーゲン / ウロポルフィリノーゲンIII合成酵素 / 先天性骨髄性ポルフィリン症 / ハイドロキシメチルビラン / ハイドロキシメチルビラン合成酵素 |
Research Abstract |
生理的に利用されるポルフィリンは4つのピロール環側鎖の配置が対称にはなっていない。非対称になるのは、生合成過程でハイドロキシメチルビラン合成酵素によって作られた鎖状テトラピロールから、ウロポルフィリノーゲンIII合成酵素(UROS)によって環状のウロポルフィリノーゲンIIIを生成する際に、D環を反転させることによって行われることが判っている。本研究は、UROSによるD環反転機構を溶液中における動的構造と結晶中における静的構造の両面から明らかにし、ポルフィリンの代謝においてポルフィリンの非対称性が果たす役割を解明することを目的として行われている。 UROSの基質であるハイドロキシメチルビランには8つのカルボキシル基があり、酵素への結合に際して塩基性アミノ酸残基と相互作用すると考えられる。また、ハイドロキシメチルビランが環化する反応にはプロトンを必要とする。本研究では基質の結合様式及びプロトンの供与に関わるアミノ酸残基を明らかにする為に、推定されている基質結合部位近傍に存在するLys、Arg、His、Tyr、Ser残基の変異酵素を作成し、それらの酵素活性及びKm、kcatを基にした基質結合の分子モデリングから、Tyr168がプロトン供与体である可能性が高いことを示唆してきた。 2008年8月に好熱菌T. thermophilusのUROSと生成物であるウロポルフィリノーゲンIIIの複合体の結晶構造が明らかになった。酵素-生成物複合体の構造は、酵素のみの構造の2つのドメインが閉じた形をしており、生成物の反応部位はTyr168近傍に存在していた。本研究で提唱した酵素-基質複合体モデルは、酵素のみのドメインが開いた構造に基質が結合した状態を示しており、基質の結合によってドメインが閉じ、Trp168からプロトンが渡り酵素反応が進行する過程を表すことができた。
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Research Products
(5 results)