2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子電線への応用を目指した非共有結合型π共役高分子組織体の構築
Project/Area Number |
18550165
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山口 勲 Shimane University, 総合理工学部, 准教授 (00272708)
|
Keywords | π共役ゲスト分子 / シクロデキストリン / ドナー / アクセプター / π共役包接組織体 / π共役系の拡大 |
Research Abstract |
p-フェニレンジアミンと2-フルフラール(Fur-CHO)および2-ピリジンカルボキシアルデヒド(Py-CHO)との縮合反応により、Fur-CH=N-C_6H_4-N=CH-Py:D-π-A(D:ドナー,A:アクセプター)型のπ共役ゲスト分子を合成した。このD-π-A型π共役ゲスト分子のN,N-ジメチルホルムアミド溶液とγ-シクロデキストリン(γ-CD)水溶液を混合撹拌することにより、沈殿物としてπ共役高分子組織体(1)が得られた。1の粉末X線回折パターンでは、γ-CDがカラム状に配列した場合に特徴的なピークが観測された。また、1のγ-CDの空孔内にゲスト分子が包接したことにより、γ-CDの歪みが解消されて対称性が高まったことが固体状態の13C NMR測定により明らかになった。さらに、1の示差走査熱量分析曲線が、ゲスト分子とγ-CDの物理的混合物と大きく異なったことからも、1ではゲスト分子がγ-CDの空孔内に包接していることが確認できた。1の吸収スペクトルは、ゲスト分子のそれよりも長波長に観測されたことから、γ-CD空孔内でのゲスト分子同士の相互作用により、π共役系が拡大していることがわかった。また、サイクリックボルタンメトリー測定から、1中のゲスト分子は、γ-CDに包接していないゲスト分子よりも、低電位で電気化学的酸化反応を受けた。この結果は、1ではπ共役系が拡大していることと対応している。
|