2006 Fiscal Year Annual Research Report
高導電率ダイヤモンドライクカーボンの創製と新規ナノ構造化電気化学デバイスの開発
Project/Area Number |
18550166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
本多 謙介 山口大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (60334314)
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Keywords | 導電性DLC / 分極性電極 / テンプレート合成 / ナノ構造化材料 / ポーラスアルミナ |
Research Abstract |
本研究開発では,sp^3炭素により構成されるダイヤモンドライクカーボン薄膜に窒素原子を不純物としてドープする高導電率化手法により,低コストで基板選択性のない分極性電極として機能する薄膜材料を実現することを目的としている.平成18年度に推進した項目の成果を以下に記す. (1)ダイヤモンドライクカーボン薄膜の不純物ドープ法による高導電率化手法の構築と電気化学特性 1.DLC薄膜の導電性コントロール手法の構築 本研究では,DLC薄膜への導電性の賦与に,電気化学反応性に影響を及ぼさない不純物原子をドープする手法を採用した.プラズマCVD法により製膜するDLC薄膜に,窒素原子を添加することにより,高導電性窒素ドープDLC薄膜の作製が可能であった.RFプラズマ出力により,DLCの導電性のコントロールが可能であり,30〜100Wの出力で抵抗値が10^7〜10^4_.Ωcmの半導体から半金属の導電性DLCが製膜可能となった.しかしながら,ボロンを不純物とするp型導電性ダイヤモンドほど不純物ドープが容易ではないことから,最も高い導電率を示す導電性DLC薄膜であっても,ボロンドープダイヤモンド薄膜の1/1000の導電率にとどまっている. 2.導電性DLC薄膜の電気化学特性 導電性DLCの硫酸溶液中における電位窓は,4.0Vとダイヤモンド電極(3.5V)と同等の電位窓を有することが判明した.DLCに不純物ドープすることにより理想的な分極性電極を実現可能であることが判明した.また,DLC電極はFe(CN)_6^<3-/4->やRu(NH_3)_6^<3+/2+>などの外圏型酸化還元種の電子移動反応に対する応答性は,理論値(60mV)に近い準可逆的挙動を示し,金属に近い良好な電気化学的応答性を示した.また,強酸(0.1M NaF in 1 M HNO_3)溶液中で-0.65〜1.3Vの電位領域のサイクル処理(走査速度50mV/s)後も,sp^2炭素で構成されるGC表面のようなピンホールは発生せず,表面ラフネスを表すキャパシタンスも処理前(2.87×10^<-7> F/cm^2)と処理後(2.69×10^<-7> F/cm^2)でほとんど変化がない.よって,DLCは,sp^2カーボンに比べ飛躍的に腐食耐性が高く,電気化学安定性の高い材料であることが明らかとなった.
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