2008 Fiscal Year Annual Research Report
気相法による化学電池用導電性多孔質体の合成に関する研究
Project/Area Number |
18550169
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
大澤 善美 Aichi Institute of Technology, 工学部, 准教授 (80278225)
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Keywords | セラミックス / 複合材料 / 化学電池 / 多孔質体 / 化学蒸着 / 化学気相含浸 / 集電体 / 窒化チタン |
Research Abstract |
本研究では、化学蒸着法の一種である化学気相含浸(CVI)法により、高導電性機能を有した多孔質体を合成し、二次電池の高性能集電フィラーとして適用、三次元的構造を有する新しい電極構成の構築を目的とする。前年度までに、基質に安価な天然素材の炭素化物を用いTiNをコーティングすることで、残存空隙率80%以上を保持しながら、比抵抗10^<-6>Ωm以下を示す導電性多孔質体を合成でき、二次電池用集電フィラーとして適用可能であることを見出した。本年度は、リチウムイオン二次電池活物質となる熱分解炭素を合成した多孔質体に充填し、高速充放電特性(レート特性)の向上の可能性について検討した。 紙繊維炭素化物/TiN多孔質体に、パルスCVI法により、30%C_3H_8-H_2ガス系から950℃で活物質として熱分解炭素を充填した。本プロセスにより、有機バインダーや導電助材のない、三次元的に導電ネットワークを含有した負極を作製することができた。電流密度を変化させ容量を測定したところ、得られた負極は1000mA/gと高い電流密度下でも、25mA/gでの容量の80%以上を維持しており、良好なレート特性を示すことを明らかにした。又、60サイクル後の容量は、初期値の92%を維持しており、良好なサイクル特性を示すことを明らかにした。 TiNコーティング膜上に析出した熱分解炭素は、結晶性がやや低く結晶子の配向が乱れ、数nm以下のメソ孔を含有することがわかった。このような微構造を反映し、得られた熱分解炭素は、黒鉛の理論容量(372mAh/g)より高い容量である460mAh/gを有することを見出した。 以上の成果より、本研究で合成した導電性多孔質体は、高容量、良好なレート特性、サイクル特性を併せ持つ高性能リチウムイオン二次電池電極を作製するための導電フィラーとして有望であると期待される。
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