2007 Fiscal Year Annual Research Report
特異的光挙動を示すピラゾリン類を用いた電子伝達系の構築
Project/Area Number |
18550173
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
北村 彰英 Chiba University, 普通教育センター, 教授 (00143248)
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Keywords | 光化学 / 光物性 / 電子移動 / 有機化学 / 増感反応 |
Research Abstract |
アゾアルカン類の光誘起電子移動反応では,一般にラジカルイオン種が発生し,それから分解することが知られている。今回,アルキリデンピラゾリン誘導体を用いることにより,ラジカルイオン種の発生を電子伝達系によりコントロールし,反応を制御することに成功した。 4アルキリデンピラゾリン誘導体を分子設計し,合成した。分子設計の基本的な考え方は,電子移動反応において電子供与体であるアゾ基と比べてより電子供与能のある芳香族基,あるいは供与能の低い芳香族基を分子内に導入することにより,多官能性を持たせることである。合成した3種類の化合物の光物性を調べ,実際に増感剤存在下で光誘起電子移動反応を起こし,その反応効率を調べた。その結果,いままでのピラゾリン誘導体では考えられないほどの高効率性あるいは低効率性を示すことがわかった。この結果は,当初の計画通り,置換した芳香族基が電子プールになり,電子の供給あるいは受容を効率よく行うことを示している。 我々の以前の研究では,ひとつの反応系において,照射する光を変えること電子の流れの向きを変えることに成功している。また,今回の研究で電子の流量の制御に成功した。これらの結果を合わせて考えると,分子設計を行うことにより,光誘起電子移動反応での電子伝達をかなりコントロールできることがわかる。
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