2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550174
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小倉 克之 Chiba University, 大学院・工学研究科, 教授 (60114253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 祥治 千葉大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50302534)
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Keywords | 金属光沢 / トリシアノエテニル誘導体 / 有機π電子系 / 薄膜材料 / 導電性 |
Research Abstract |
本研究は,中性有機π電子系の分子間相互作用を可能にする機能団「トリシアノエテニル(TCE)基」を最大限利用することにより,有機π電子系を凝縮させ,種々の金属色色材をはじめとする種々の機能性材料を開発することを目的としている。平成19年度は,これまでに研究してきた1-アリール-2-(2-チエニル)-5-(5-トリシアノエテニル-2-チエニル)ピロール(1)の結晶について金属光沢発現の起源を解明するとともに,TCE基を有する新規π系化合物による薄膜を指向した材料の開発をも目差して研究した結果,以下の事柄が主な成果としてあげた。 1)金属光沢発現の理論的解明とその応用 顕微紫外可視近赤外分光光度計を用い,化合物(1)の単結晶の各面に平面(直線)偏光を照射して結晶内のπ分子の配列と金属反射の強さの関係を求めた結果,化合物(1)のTCE基とピロール環が分子間で横方向に連続的に近接することが反射に寄与していることを明らかにした。この結果は,量子化学計算(ab initio法)によっても支持された。 2)薄膜金属光沢材料への展開 金属光沢を有し,かつ安定な薄膜を形成できる化合物の開発は,汎用な用途をもつ金属色材料への利用ができる重要な研究である。N-[4-(トリシアノエテニル)フェニル]アニリノ(TCPA)基を複数個有する化合物が金色薄膜を形成できるこれまでの知見を展開,形成する薄膜の安定化および化合物について種々検討した。その結果,TCPA基が二個のメチル基に置換した3,5-ジメチル安息香酸メチル(2)およびTCPA基が3位と5位に置換した安息香酸メチル(3)が安定な金色薄膜を形成することが分かった。さらに,化合物(3)のフェニル基のパラ位にヘキシルオキシ基を導入した化合物は種々の有機溶媒への溶解性もよく,PET基盤に対しても安定な金色光沢膜を形成した。
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