2007 Fiscal Year Annual Research Report
階層的キラリティー伝達に基づく液晶用キラル添加剤の開発
Project/Area Number |
18550175
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
八木 繁幸 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 准教授 (40275277)
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Keywords | 液晶 / キラルネマティック相 / キラル添加剤 / 超分子化学 / らせん不斉 / 不斉誘起 |
Research Abstract |
非環状テトラピロール系らせん分子(亜鉛ビリノン)を基盤とする液晶用キラル添加剤の開発を目的として、平成19年度は、亜鉛ビリノン誘導体の合成とそれらのキラルネマティック液晶誘起効果について以下の2項目を検討し、成果を得た。 1.キラルな側鎖を有する亜鉛ビリノン誘導体の合成とキラルネマティック液晶誘起効果 B環およびC環に光学活性な長鎖アルキル基を有する亜鉛ビリノン誘導体を合成し、そのキラルネマティック液晶誘起効果について検討した。円偏光二色性(CD)スペクトルから判断したところ、亜鉛ビリノンのヘリシティー誘起は効果的ではなかったが、室温ネマティック液晶であるMBBAに添加したところ、効率的なキラルネマティック液晶相の誘起が確認された。同様な長鎖アルキル基を導入したベンゼン誘導体ではキラルネマティック相の誘起効率は低いことから、液晶媒体中ではアルキル基による亜鉛ビリノンらせん構造のヘリシティー誘起が効率的におこることがわかった。 2.液晶中における亜鉛ビリノンの不斉増幅 らせん末端へのキラル補助基の導入によってヘリシティーの制御された亜鉛ビリノンとキラル補助基を持たずラセミ化している亜鉛ビリノンを混合してネマティック液晶に添加したところ、ヘリシティー体のみを添加した場合に比べてより効率的なキラルネマティック相の誘起が認められた。キラル補助基を持たない亜鉛ビリノンのみではキラルネマティック相は誘起されないことから、キラルネマティック液晶中でアキラルな亜鉛ビリノンのヘリシティーが誘起され、キラル添加剤として機能していると考えられる。すなわち、亜鉛ビリノンと液晶との間の協同的な不斉増幅が示唆された。
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Research Products
(2 results)