2008 Fiscal Year Annual Research Report
階層的キラリティー伝達に基づく液晶用キラル添加剤の開発
Project/Area Number |
18550175
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
八木 繁幸 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 准教授 (40275277)
|
Keywords | 液晶 / キラルネマティック相 / 超分子化学 / キラル添加剤 / らせん不斉 |
Research Abstract |
非環状テトラピロール系らせん分子(亜鉛ビリノン)を基盤とする液晶用キラル添加剤の開発を目的として、平成20年度は、亜鉛ビリノン誘導体のキラルネマティック液晶誘起効果と表示素子への応用について以下の2項目を検討し、成果を得た。 1.亜鉛ビリノンを基盤とする超分子型キラル添加剤の開発 アキラルな亜鉛ビリノンと光学活性アミンとをネマティック液晶に添加したところ、キラルネマティック液晶が誘起され、光学活性アミンのみを添加した場合よりも大きなねじり力が得られた。すなわち、液晶中における光学活性アミンとの錯形成によって亜鉛ビリノンのらせん不斉が誘起され、キラル添加剤として機能したためと考えられる。以上の結果から、ホストーゲスト型錯形成に基づく新しい超分子型キラル添加剤の創製に成功した。 2.キラルネマティック液晶を用いた表示素子の作製と機能評価 ネマティック液晶にキラルな亜鉛ビリノンを添加して得たキラルネマティック液晶をラビング処理した基板上にスピンコートし、薄膜状の液晶サンプルを作製した。偏光を照射することによって選択反射が確認され、亜鉛ビリノンの添加量でサンプルの色調が変化することを確認した。このキラルネマティック液晶を、ITOガラス基板上にポリイミドラビング層を設けた配向セルに封入したところ、亜鉛ビリノンに由来する着色が確認され、選択反射は認められなかった。このことから、亜鉛ビリノンをキラル添加剤に用いた場合、亜鉛ビリノンの強い光吸収が液晶表示素子の選択反射能に著しく影響を及ぼすことがわかった。
|
Research Products
(2 results)