2007 Fiscal Year Annual Research Report
高配向性有機/層状複水酸化物ハイブリッド薄膜の創製
Project/Area Number |
18550185
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
井伊 伸夫 National Institute for Materials Science, ナノスケール物質センター, 主席研究員 (50343851)
|
Keywords | LDH / 層状複水酸化物 / 薄膜 / 配向 / 脱炭酸イオン / ナノシート / 膨潤 / 自立膜 |
Research Abstract |
高配向な有機-LDHナノハイブリッド薄膜を創製することが、本研究課題の目的である。高配向性LDH薄膜創製の進展には、3つの技術要素、(1)結晶性が良く、大きく均一な粒径のLDHの合成技術、(2)薄膜化と薄膜状LDHの脱炭酸イオン技術、(3)LDHのナノシート化技術、の改良が必要となる。今年度は、特に(2)と(3)について、大きな進展があった。脱炭酸イオン法に関しては、HCl/NaCl溶液から酢酸バッ・ファー/NaCl溶液に変えることにより、これまで、pHが2程度であった脱炭酸イオン溶液のpHを5程度まで上げることができ、そして、脱炭酸イオンによるpHの変化を抑えることができたため、より穏和で均一な条件で脱炭酸イオンが可能になった。また、これによって得られるC1体のLDHは、アニオン交換能を持ち、他のLDHに変換することができた。次に、ナノシートを基板上に塗布して薄膜を形成する方法に関しては、これまでフォルムアミドという有機溶媒を使ってナノシートを作製し、そのゲルを塗布していたが、フォルムアミドが難蒸発性で、ガラス基板に対して親和性が低く、また、人体にも有害であるため扱いが難しかった。今回、この溶媒について検討を行い、水で膨潤しナノシート化するLDH複合体を開発することができた。これは、酢酸アニオンを層間に含むLDHであり、水を加えると直ちにゲル状態へと変化する。水が溶媒であるため、ファルムアミドに比べ適度な蒸発性を持ち、ガラス基板との親和性も高いため、乾燥や塗布がより容易で配向薄膜が簡単にできるようになった。さらに、基板を要しない自立膜も作製できた。得られた自立膜は大きさが10cm^2以上で透明性が高く、また各種無機・有機のアニオンとのアニオン交換により他のLDHハイブリッドに変換することができた。このような大きなLDHの自立膜の作製は世界初である。
|