2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
奥林 里子 福井大学, ベンチャービジネスラボラトリー, 研究員 (00284737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 照夫 福井大学, 大学院工学研究科, 教授 (90092832)
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Keywords | リヨセル / 超臨界二酸化炭素 / フィブリル化 / 膨潤 |
Research Abstract |
本研究では、超臨界二酸化炭素(scCO_2)を用い、セルロース繊維のミクロ構造をコントロールすることで、廃液ゼロの工程でセルロース織維の欠点であるフィブリル化を改善する方法を見いだすことを目的とした。まず、scCO_2のみの雰囲気中で任意の圧力および温度にてリヨセル織維を処理し、処理前後での重量変化を測定したところ、最大で1%の重量減少が見られた。次に、これら処理試料について2.5Mの水酸化ナトリウム水溶液中(室温)での繊維直径を光学顕微鏡を用いて測定したところ、120℃でscCO_2処理した試料では120℃にて乾熱処理した試料と比べて約15%(体積にして約22%)の増大が見られた。2.5M水酸化ナトリウム水溶液中での繊維膨潤が大きいほど、繊維はフィブリル化し易いことがすでに報告されていることを考慮すると、scCO_2のみの処理ではセルロース構造がより粗になることが考えられる。次に、scCO_2に少量の水あるいはメタノールを添加した流体中にて120℃、25MPaでリヨセルを処理し、これらの試料についても2.5Mの水酸化ナトリウム水溶液中での繊維直径を測定した。水のみで処理・乾燥したリヨセルは膨潤が抑えられることが報告されているが、水を5〜20mol%添加したscCO_2系では処理時間が30分と短い場合には最大で36%の直径増加が見られた。一方、メタノール添加系では条件に関係なく殆ど変化は見られなかった。以上の結果より、溶媒和効果によりセルロース分子間の水素結合を切断する水(メタノールは殆どない)を含むscCO_2処理により、セルロース構造は粗になり、scCO_2放圧時にその構造が保たれると推察される。今後はSEM観察やWAXS分析により構造変化を詳細に調べるとともに、他の第2成分の添加効果や放圧速度などの処理条件の影響を検討する。
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