2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18550190
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥林 里子 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (00284737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 照夫 京都工芸繊維大学, 福井大学・大学院工学研究科, 教授 (90092832)
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Keywords | リヨセル / 繊維 / 超臨界二酸化炭素 / 有機塩基 / 膨潤 / BET表面積 |
Research Abstract |
本研究では、超臨界二酸化炭素で処理することにより、セルロース繊維のフィブリル構造、その他のミクロ構造を変えることで、従来にない極めてフィブリル(繊維の分割)フリーなセルロース繊維を創製する技術を開発することを目的とした。本年度は特に、有機アルカリを含むscCO_2処理による繊維のモルフォロジー変化や繊維膨潤への影響について検討した。有機アルカリには、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化ベンゼントリメチルメタノール溶液を用い、所定の温度および圧力のscCO_2にてリヨセル繊維を1時間処理した。圧力25MPa,温度100℃以上で処理したリヨセルの、2.5Mの水酸化ナトリウム水溶液中(室温)での繊維直径を光学顕微鏡で測定し繊維膨潤として評価したところ、いずれも膨潤が抑えられていることが分かった。この繊維を繊維方向に引張り、切断した面をFE-SEMで観察したところ、剥がれたマクロフィブリル径が未処理のそれよりも小さくなっていることが分かった。また、有機アルカリ/scCO2処理により、繊維重量が減少したこと、BET比表面積が大きくなったこと、結晶化度が高く(WAXD測定による)なったことから、繊維膨潤の抑制を次のように考察した。すなわち、scCO_2に溶解した有機アルカリ/メタノールがリヨセル繊維のフィブリル間に浸透し、適当量の非結晶領域セルロースを溶解することで、不均一であったマクロフィブリル間の接着性が向上した結果、繊維膨潤が抑制された。これらのモデルはしかし、憶測の域を出ておらず、今後更に詳しい分析が必要である。
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