2006 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解能1ミリ秒以下でのその場測定による繊維構造形成機構の解明
Project/Area Number |
18550191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大越 豊 信州大学, 繊維学部, 教授 (40185236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦川 宏 京都工芸繊維大学, 工芸科学部, 教授 (10183211)
奈倉 正宣 信州大学, 繊維学部, 教授 (70021178)
後藤 康夫 信州大学, 繊維学部, 助手 (60262698)
小寺 賢 神戸大学, 工学部, 助手 (80403301)
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Keywords | 繊維構造形成 / 時間分解能 / マイクロ秒 / レーザー延伸 / ネッキング / PET / 2次元秩序構造 / 配向結晶化 |
Research Abstract |
走行中の繊維に炭酸ガスレーザーを照射して急速かつ均一に加熱することによってネック延伸点を非接触で空間中に固定できる。固定されたネック廷伸点から任意の距離離れた点でのその場測定により、繊維構造形成過程を解析した。本年度は、種々の分子量のPoly(ethylene terephthalate)(PET)、Poly(tetra-methylene terephthalate)(PTT)、およびPoly(viny l alcohol)(PVA)に関する温度プロフィールとX線回折測定を行うと共に、時間分解能および位置分解能の向上を試みた。PETの繊維構造解析過程では、ネック変形直後にフィブリル状の形態を持つ2次元秩序構造が形成され、1.0ミリ秒後程度から顕著になって数ミリ秒まででほぼ完了する配向結晶化により繊維構造が形成される。PETの分子量が大きいほど結晶化の開始および完了が明瞭に遅れることが明らかになった。これに対し、結晶化自体の進行速度は余り変化せず、また典型的な配向結晶化を起こす条件では延伸倍率が配向結晶化の速度におよぼす影響もそれほど顕著ではない。フィブリル状構造自体はネック変形直後に形成されていることが示唆されるが、小角像に繊維構造パターンが現れるのは結晶化の進行とほぼ一致している。一方PTTやPVAでは、ネック延伸直後(1ミリ秒以内)で既に結晶性回折が現れる。特にPVAではこの時点以降でもかなりの変形が起きており、結晶化した繊維が超延伸されていることが示唆される。またPTTではネック変形から10ミリ秒以上経過してから小角回折像に2点像が現れる。以上のように、現時点では配向結晶化と繊維構造形成が必ずしも単純に一致しないことがわかってきたと言えよう。今後データを蓄積することにより、この点を明らかにしていきたい。
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