2006 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性ポリペプチドゲルの形状記憶能と膨潤・収縮機構に関する研究
Project/Area Number |
18550193
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪股 克弘 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (80232578)
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Keywords | 高分子ゲル / 水溶性ポリペプチド / 形状記憶能 / 結晶化 |
Research Abstract |
本研究課題では、水溶性のポリ[N^5-(2-ヒドロキシエチル)L-グルタミン](PHEG)の側鎖に、結晶化を起こすような長鎖アルキル基(炭素数n)を導入した、PHEG-graft-Cnの化学架橋型のゲルを研究の対象とする。 本年度はまず、化学架橋型のポリペプチドゲルの調製手法を確立するために、以下の手順で実験を行った。出発物質であるポリ(γ-ベンジル L-グルタメート)(PBLG)を溶媒であるN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、結晶性のC18基を有するオクタデシルアミン(ODA)と架橋剤のヘキサメチレンジアミン(HMDA)を加えて80℃に加熱し、ゲル化した試料を作成する。このゲルをDMFに浸漬させて不純物を除いた後、2-アミノエタノールと2-ヒドロキシピリジンを加えて37℃で反応させ、PBLGをPHEGに変換させた。ゲルを再びDMFに浸漬させて不純物を除いた後、蒸留水に浸漬させて溶媒置換を行うことで、最終的なゲル化試料を得た。 以上の操作を、PBLG残基に対するODAとHMDAの割合を変えながら行った結果、ある限られた組成の範囲でのみゲル化試料が得られることが分かった。そのうち、ODA、HMDAともにPBLG残基の3.0倍モルの仕込み量で調製したゲルでは、室温では固くもろいが、65℃では軟化して変形を与えることが出来、その状態で5℃まで冷却すると固化した。この変形状態を固定化したゲルを再び65℃に昇温したところ、軟化したのち変形前の元々の形状に復元した。すなわち、昇温・冷却により形状を変化・固定化でき、かつ最初の形状は記憶している、形状記憶ゲルを調製することができた。示差走査熱量測定の結果、ODA(C18)側鎖の結晶融解に相当すると思われるピークを確認し、このゲルの形状記憶能が、HMDAによる架橋とC18の結晶化により発現していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)