2006 Fiscal Year Annual Research Report
らせん高分子の自己組織化における分子認識機構の計算科学
Project/Area Number |
18550196
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 隆 山口大学, 大学院理工学研究科, 教授 (00127797)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦上 直人 山口大学, 大学院理工学研究科, 講師 (50314795)
|
Keywords | らせん高分子 / 分子認識 / 自己組織化 / 結晶化 / 分子シミュレーション / 計算科学 |
Research Abstract |
我々はらせん高分子を以下のような二つに類別し、それぞれ異なったアプローチで研究してきた。 (1)大きな側鎖を持たないコンパクトな裸の螺旋高分子 (2)大きな側鎖を持ち、複雑な分子間相互作用をする一般の螺旋高分子。 本年度は、各々の螺旋高分子に対して、以下のような研究を行った。 (1)裸のらせん高分子:真空中での単独の裸の螺旋高分子は、速やかな秩序化を示すこと、特に成長界面近傍では顕著な界面吸着と折り畳み結晶化を示すことを既に報告した。今年度は、多数本のらせん高分子からなる融液状態からの結晶成長過程の解明を目指して、そのオリゴマーの結晶化過程とそこにおけるらせん認識過程を究明した。 裸のらせん分子系では、迅速な結晶化を観測できること、結晶相においてはらせんセンスに関する明瞭な秩序・無秩序転移が存在すること、結晶化(特にその初期段階)においては、成長界面でのらせんセンスの明瞭な認識は行われず、結晶化が完成した後の結晶内秩序化を通してらせん秩序が形成されること、などを明らかにした。これらの研究成果はJ.Chem.Phys.に掲載された。 (2)大きな側鎖を有する一般の螺旋高分子(特にアイソタクティック・ポリプロピレンをモデルらせんとして):この螺旋分子系ではに対しては、これまで極めて制限された条件下でのみ、分子動力学シミュレーションを用いた秩序化過程の観測に成功している。本年度は、分子内自由度を制限することによって、モンテカルロ法による結晶化過程の追跡、そこでの選択的なキラル結晶の成長過程の観測、などを行った。現在、計算データを整理している。 (3)螺旋高分子の興味深い振る舞いは、通常の結晶化以外にも様々なところで見出される。本年度は、電荷を持った様々な高分子の構造形成の研究調査、電荷間のクーロン力の高速計算を行うための専用チップ(MDエンジン)の導入し、その予備的運用を開始した。
|
Research Products
(4 results)